The Future [ HOME本試験予想・分析情報>2001年国 I 2次専門試験法律職(民法) ]
本試験予想・分析情報
2001年本試験情報 国 I 2次専門試験法律職(民法) 問題とコメント

 [No.3](必須問題)
 Aは、Bとの間で、B所有の別荘の応接室用の家具一式について代金500万円で買い受ける旨の契約を締結した。
 Aが約定の日にBからその家具の引渡しを受けようとしたところ、Bがその別荘の管理の一切を任せてきたCが、AB間の契約締結直後に、Bに無断で、その家具一式をDに300万円で売却し引き渡してしまっていることが判明した。

(1)この家具一式の所有権はAとDのいずれに帰属するか。
 CがDに対して、自己の所有物であると称して売却していた場合とBの代理人であると称して売却していた場合とを想定し、その二つの場合に分けて論じなさい。
(2)上記の(1)においてDに所有権が帰属すると判断される場合、AはBに対してどのような法的主張をなし得るか。
 [No.6](選択問題)
 Aから融資を受けたBは、その担保として自己所有の土地を譲渡担保に供し、その所有権移転登記を経由した(ただし、当該土地は依然Bが使用している。)。
 そして、弁済がなされないまま弁済期が経過した。
 これを前提として、以下の二つの各場合について、それぞれ検討しなさい。

(1)Aがまだ譲渡担保権を実行していないので、資金繰りがついたBが本件土地を受け戻そうとしたところ、Bに恨みを抱いていたCは、Bの受け戻しを妨害する目的で、事情を知らないAから本件土地を強引に買い取って登記を備え、逆に、Bに対して土地の引渡しを請求してきた。
 BC間の法律関係はどうなるか。反論を踏まえて論じなさい。
(2)弁済期後、AB間で清算もされないまま10年を経過したが、Aから本件土地を譲り受けたCは、Bに対して土地の引渡しを請求してきた。
 B及びCがなし得る法的主張として、それぞれどのようなものが考えられるか。
 <コメント>
 [No. 3](必須問題)は、総則・物権・債権と民法全体の幅広い知識を問う総合問題である。即時取得・表見代理・履行補助者の故意・過失が主要論点となる。1次合格者であれば、手も足も出ないという事はなかったであろう。
 [No. 6](選択問題)は、譲渡担保に関する近江幸治オタク問題である。担保物権からは出題が予想された。とはいえ、試験場で「抵当権の新判例じゃないのか!」と心の中でツッコミを入れた人も少なくなかろう。ゼミに入っている受験生以外は、手も足も出なかったか?
 なお、試験場では、六法を参照できないが、110条・192条・415条といった有名条文については、数字を出すべきである。(沖田)
©1999-2001 The Future