官庁訪問日記

M君の官庁訪問日記

6月18日(金) 官庁訪問5日目
 11時過ぎ。人事院に到着。今日は官庁訪問始まって以来の遅い朝。運輸省に14時50分から予約があるだけだからだ。もっとも人事院では予約は入っていないのに出向いたのはなぜか。それは聞いてみたいことがあったからだ。
 11時40分。人事課に行き、質問する。「次回、月曜日9時半に伺うことになっているのですが、その後で会計検査院に伺わなければなりません。どういう結果になるかわかりませんが、人事院でうまく行った場合、他省庁にできるだけ早くお断りした方が迷惑がかからなくていいと思うんです。もしよろしければ、大体、いつ頃に安心して勉強に打ち込めるときが来るのか教えていただけませんか?」と勇気を出して聞いてみる。すると、「月曜に決まるんじゃない? うまく行けばだけどね(笑)」とのこと。うまくすれば、会計検査院か人事院かの「運命の分かれ道」が来週月曜日にやって来るのかもしれないなぁと思いながら人事課を後にする。
 12時10分。人事院の1階ロビー近くでぼーっとしていると誰かが話しかけて来る。受験生だ。もちろん知らない人。彼(京大5回生)と話していると、官庁訪問でいろいろ苦労しているとのこと。お互いに近況を報告し合うと、彼から「いいですねえ」と言われる。「どうやったらそういうふうにうまく行くんですか?」と聞かれる。そこで、自分には既卒で今年25歳になるという年齢的なハンディや司法試験受験歴があるというネックもあり、また自分自身緊張するタイプなので官庁訪問で自分の言いたいことがどれだけ面接官に伝わるのか不安で不安で仕方がなかったことを彼に言う。そういう不安が官庁訪問前からずっとあったので、想定される質問については予め一応の答えを入念に準備しておいたこと、そして、そのおかげで緊張しながらもなんとか自分の思いを面接官に伝えられたことを言う。そして、ハンディやネックがあることを嘆いてももはや仕方がないから、ありのままの自分で勝負しようと開き直ったこと、そして嘘をつくと自分自身後ろめたくなって萎縮しそうだから極力嘘はつかないよう心がけていることなど、自分の現在の心境をを率直に彼に言う。13時20分。彼との会話が終わる。
 その後、人事院の食堂で遅い昼食。すると水曜日に面接をした方を発見。お互いに軽く会釈。食事後、運輸省へ。
 15時25分。運輸省3人目の面接(人事課)。面接が終わり、最後に。「次回ですが、人事院が9時半から入っているようですね。他は?」「人事院が終了次第、会計検査院に電話連絡することになっております」「でしたら、11時はどうですか?」「人事院での面接が9時半から何時までかかるかわからないのですが」「間に合わないときはお電話頂ければ結構です」「はい、わかりました」という会話。しかし、会計検査院では人事院が終わり次第電話をする約束をしていた。そのため、運輸省が会計検査院に割り込んだ形になったので、かなり心が痛む。15時40分に終了。
 16時少し前。待合室で待たされるのがしんどくなって、待合室にいた受付の人に「30分くらいで戻りますから」とかなんとか言い訳をして外に出させてもらう。そして、虎の門の喫茶店で友達と待ち合わせて、あれこれ官庁訪問の様子をお互いに話す。
 16時30分。運輸省に戻る。
 16時40分。運輸省4人目の面接。ここでは、東京への一極集中とは別に、地方の中でも一極集中が進んでいることやバス行政の話を聞く。17時30分に終了。
 その後、帰宅の途中、代々木上原駅で人事院から携帯に留守電が入っていたことを知る。人事院に電話する。「月曜日は9時半ではなくて15時にいらしていただけませんか」「人事院が終わり次第、会計検査院に伺うことになっているのですが」「大してお時間は取らせませんから」とのこと。不安になる。「人事院での自分の相対的評価が下がったから、朝一番ではなくて午後になってしまったのか?」と。しかし「何か事情があったのだろう」と自分に言い聞かせて不安感を払拭しようとする。
 さて、15時に人事院に行くとして、運輸省・会計検査院をどうするか、いつ、どういう順番で回ろうか。運輸省・会計検査院のいずれかに明日にでも「人事院が15時からになりましたので、9時から時間が空きましたが、どうしますか? 予定通りでいいのでしょうか?」と連絡すべきだろうか?
 官庁訪問は、受験生と官庁の駆け引き。そんなことを初めて実感する。
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