M君の官庁訪問日記
さて、13時半までどうやって時間を潰すそうか? そういえば、さっき人事院に行ったとき、入口に公平審理の案内掲示が出ていた。裁判傍聴はしたことはあったが、公平審理は見たことがない。そこで、公平審理を見てみようと思い、人事院に向かう。
11時10分。人事院に到着。官庁訪問初日にいろいろと話した衛視の方に「公平審理は途中で退室しても大丈夫なのでしょうか?」と一応聞く。裁判と同様、途中退室もOKとのこと。
11時15分。審理されている部屋に入る。「あなたの言う『職場』というのは、どういう意味ですか? 局、課……」といったやりとり。再び、「あなたの言う『職場』というのは……」と。聞いていてもさっぱり意味がわからない。しかし、人事院の業務を実際に見て、「もしかしたら、自分がこんな仕事をするのかもしれないんだなあ」と思うと、不思議な気持ちに。傍聴席には何人かいたが、他の傍聴人はみな関係者のよう。自分だけが一般の見学者という感じ。公平審理の傍聴は、裁判傍聴よりもマイナーなのだろう。11時25分退室。
11時30分。人事院の食堂で昼食。
11時50分。1階のロビーでいつものようにノートやパンフをチェック。そこに、見覚えのある受験生がやって来る。会計検査院の待合室で話した人ではないか。聞くところによると彼は、会計検査院での面接終了後に「明日金曜日は混雑していますので、もし興味がありましたら、月曜日か火曜日にでもお越し下さい」と言われたとのこと。彼の話を聞いていると、彼は、僕が午前中にいろいろ身の上話をしたあの面接官に会った後、2人の原課の面接を終えてこのような返事をもらったらしい。この返事は明らかに脈が薄いというものである。もし脈があれば「興味がありましたら……」なんて言い方はするはずがない。彼は落胆した表情。この彼の言葉を聞き、僕は「自分も午後に原課の面接を終えてどうなるのか、一つ山場だなあ」と感じる。
しばらくすると、また見覚えのある受験生がやって来る。渡辺ゼミ生。話したことはなかったが、お互いに顔は覚えていたこともあり、初めて話す。彼女はなんとなく疲れた表情。お互いの官庁訪問の経過を報告し合う。僕は大量にガムを持っていたので最後に彼女に数枚あげる。別れ際、「会えてよかったです。ちょっとがんばる元気が出てきました」と言われる。単純な僕は、一人で晴れ晴れとした気持ちになる。彼女は郵政省に、僕は会計検査院に向かう。
13時25分。会計検査院に到着。まずは待合室で待機。
13時40分。待合室から別室に移動。
13時55分。会計検査院4人目の面接。ここでは、試験のでき具合と司法試験をどうするのかというお決まりのことを聞かれる。身の上話の次には、業務説明と質問ということになる。印象的な質問は「どういうふうに本院がすれば、国民みんなが幸せになれると思うか?」というもの。これは予想外のものであったから、その場で考えて答える。3月にあった一橋大学での説明会にいらしていた方で、僕のことを覚えていたせいもあってか、面接は終始和やかに進む。
15時10分終了。
とりあえずいつものようにノートに面接のやりとりをメモしているとノックの音。人事課の方から「月曜日は人事院の予約が入っているようですが、その後でも結構ですからこちらへいらしていただけませんか? 人事院が終わってから、電話で連絡していただけませんか?」と聞かれる。「はい、わかりました」と返事する。
15時25分頃。会計検査院を後にし、三年坂を下り霞ヶ関駅へ向かう。なんてラッキーなんだろう。とりあえず、2週目の頭まではなんとか首が繋がった。3省庁しか回っていない僕にとっては、一つ切られただけでも相当なダメージ。とりあえず2省庁から呼ばれただけでも幸せというものだ。残るは運輸省。今日はこれで予定は終わりだが、文部省が距離的に近い。三年坂を下ると右手がすぐ文部省なのだ。手持ちの駒は多いに越したことはないのだから、とりあえず回ってみるべきか? 悩みながら、とりあえず文部省の中に入る。エレベーターで待合室のあるフロアまで上がる。しかし、「『今更何をしに来た?』と言われるのではないか?」という不安が脳裏をよぎる。そうしたらどう答えようか? 官庁訪問が始まって4日も経ってから来ても、まさか第一志望だなんて言えないし。頭の中で一人二役で面接をしている。ああ聞かれたらどうしよう、こう聞かれたらどう答えよう? フロアを行ったり来たりして、あれこれ考えた結果、「こんな気持ちで回ったって、お互いに嫌な思いをするだけだ。やめよう」という考えに至り、階段を降り、文部省を後にする。
その後帰宅。
|