M君の官庁訪問日記
10時35分。人事院に到着。先週金曜日の電話を受けて、今日は11時に人事院へ来ることとなったのだ。いい結果かもしれないし、悪い結果かもしれない。それとも、最後のチャンスを与えられるべく、またまた面接があるのかもしれない。不安だらけではあるが、まだ会計検査院も残っていることを心のよりどころにして何とか気を落ちつかせようとする。もっとも、今日の夕方に会計検査院に電話した結果、「縁がありませんでした」と言われる可能性もあるのだが……。
11時。人事課へ行く。別室へ案内される。
11時15分。ノックの音。いよいよ宣告されるのだ。不安がよぎる。「他の省は断って下さって結構です」との言葉。これでようやく官庁訪問が終わる。そう思うとちょっと感慨深い。これまで2週間の間に人事院では8人と、会計検査院では13人と、運輸省では6人と、それぞれ面接をしてきたが、この過酷だった2週間もこうして振り返ってみると実はあっけないものだったと感じる。長いようで実はあっという間の2週間だったと感じる。今にして思えば、第1志望の人事院を最初に回ったのは正解だったのだろう。面接慣れしないままに第1志望の官庁を最初に回るのはリスクが高いから、ちょっと面接慣れしてから人事院を回った方がいいのかどうなのか……などとくよくよ悩んでいた自分が嘘のようだ。11時25分終了。
12時30分。郵政省の食堂で郵政省を回っている友人と食事をする。午前中の自分のできごとや、彼の今後のことなどについてあれこれ話す。15時45分別れる。
夕方に会計検査院へ電話する約束になっている。先週金曜日の面接の結果を教えてもらうためである。もっとも、今となっては会計検査院での結果が良くても悪くても、僕には会計検査院を断る以外には選択肢はないのだ。電話で断ろうかとも思ったが、今までいろいろとお世話になったことだし、直接会って言うのが良いと考えて、会計検査院まで行こうと決める。
15時55分。会計検査院に行く途中、運輸省の2軍部屋で一緒だった人とすれ違う。お互い「あっ…」と顔を見合わせ、声を掛ける。近況を報告し合う。彼は運輸省を結局は切られ、自治省を回っているとのこと。あまり感触が良くないらしい。自分がうまく行っているだけに、どう声を掛ければよいものか、複雑な気持ちになる。
16時15分。会計検査院の人事課へ行く。別室へ案内される。人事院での経過を話したところ、「今更引き止めても無理だよね……?」と言われる。これまで13人の方との面接を通じていろいろとお世話になったこと、最終的には人事院も会計検査院も同じくらいに深い関心を持ったので早くよい返事をくれた方に行こうと思っていたことなどを伝え、会計検査院を後にする。
17時。早稲田セミナーに経過報告をしに行く。
18時。昼食を一緒にした友人に会う。彼はあの後、結局郵政省を切られたとのこと。またまた掛けるべき言葉を失う。うまくいった自分が言う言葉はどんな言葉であっても嫌味にしか聞こえないのではないかと思うと、非常に難しい。しかし、彼も気を遣ってくれてか、いつも通り普通に話してくれる。自分がもしも相手の立場だったらどんな態度を取るのだろう。冷静でいられるのだろうか。笑顔で「良かったね」と言えるのだろうか。複雑な心境。23時別れる。
その後、帰宅。
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