M君の官庁訪問日記
(参考)官庁訪問での面接回数は以下の通りです。
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人事院 |
会計
検査院 |
運輸省 |
14日(月) |
4 |
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15日(火) |
2 |
2 |
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16日(水) |
1 |
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2 |
17日(木) |
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2 |
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18日(金) |
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2 |
19日(土) |
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20日(日) |
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21日(月) |
1 |
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1 |
22日(火) |
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1 |
23日(水) |
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3 |
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24日(木) |
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4 |
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25日(金) |
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2 |
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最後に、官庁訪問日記を終わるにあたり、僕が官庁訪問を通じて感じたことを箇条書きにしてみます。
[1]合格者や官庁訪問をしたことのある受験生から、実際の官庁訪問の様子を聞いてみる
僕は、早稲田セミナーの合格者サークルに参加したり、前年度に国
I を受験し、実際に官庁訪問をした受験生と知り合いになって、官庁訪問とはどのようなものなのか、具体的なイメージを持つように心がけました。イメージトレーニングのようなものです。スポーツの試合の際に事前に作戦を練るのと同じです。準備しているかしていないかでは非常に大きな差が出てくると僕は思います。特に、「あがり性」の人は当てはまるでしょう。
僕自身もあがり性で、人生が決まる大勝負である官庁訪問において自分の言いたいことのどれだけが面接官に伝わるのか、非常に不安でした。ここ一番というときに過度に緊張してしまうのです。しかし、いろいろと話を聞いて具体的なイメージを持ち、事前に質問される事項を予想して、「こう言えばうまく伝わるのではないか?」「こういう順番で話せば、筋道がわかりやすいだろう」というふうに、ある程度綿密に考えておきました。僕の場合、何も事前に準備せずに思いついたままにしゃべっていると、話の内容が支離滅裂になってしまいがちなのです。例えば、「なぜ国家公務員に?」「その中でもなぜ○○省なのか?」という典型的な質問に対しては、一つの筋が通って話せれば説得力が増すでしょう。また、志望官庁間の関連性についても問われることが多いです。そんなときにも自分の心の中での一貫性を面接官にうまく伝えたいところです。もっとも、僕のように人事院・会計検査院・運輸省という端から見ると一貫性のない回り方をすると、必ずと言っていいほどに「なぜ、この3省庁を?」と聞かれます。ただ、この質問も事前に予測していたので、官庁訪問では自分なりにうまく説明できたと思っています。
このように、どんなことを聞かれるのか予想して一応の答えを準備しておけば、あがり性であってもある程度は何とかなります。質問を予想する際に役に立つのが、合格者や官庁訪問経験者の話を聞くことなのです。億劫がらずに、積極的にいろいろな人から話を聞くとよいと思います。
[2]いろいろなことを話せる受験生の友人を作る
上で合格者や官庁訪問経験者の話を聞くことが大切だということは述べましたが、受験生間でいろいろ話すこともまた大切です。
その理由の一つには、自分と同じ立場にある受験生が、社会問題等に関してどのような問題意識(内容・レヴェル)を持っているのかを知ることができるからです。自分の問題意識が低すぎ、会話についていけないとなれば、「もっと新聞を読もう」とか「もっと勉強しなければ」という気持ちにもなるからです。同じ立場にある人から受ける刺激は貴重なものです。
もう一つには、「話す」という作業を通じて、自分の頭の中で漠然と思っていたことや考えていたことが明確になるからです。例えば、友達に「なんで公務員になろうと思うの?」と突然聞いてみるのもよいでしょう。そのときにその友達がどのように答えるのかを聞いてみて下さい。そして、自分にも同じ質問をしてもらって下さい。どのように答えますか。とっさにあれこれ思いついたことをその友達を目の前にしゃべることになるでしょう。しかし、その際に思いがけないことを自ら言うこともあります。普段、頭の中で考えていても、口に出して実際に「話す」という作業はあまりしないため、ぼんやりとしか自分自身わかっていないことも意外に多いのです。話してみると「なんか漠然としかわからなかったが、実はこんなことを考えていたのか」と、改めて思い知らされることもあるのです。
このように、受験生同士でいろいろなことについて話すことも大切です。友達同士で真面目に模擬面接のようなことをやってもよいかもしれません。意外と答えに詰まってしまうものです。
[3]想定される質問やその答え等を思いついたときは、忘れないうちにそれを書き出しておく
いろんな人と話していく中で、また電車の中でボーッとしているときに、ふと「こんな質問されたら困るよなあ」「これも志望動機に使える」「これは自分のアピールポイントとして使える」と思いつくことがあります。こういうことは、忘れないうちに書き出しておくことをお薦めします。官庁訪問の直前になってやろうと思っても、すっかり忘れてしまうことも多いです。また、そのような時間をとることもできなくなってしまいます。したがって、常日頃から官庁訪問でどのようなことを話すこととなるのかを考え、頭の中で練っておき、それを逐次、記録として残しておくことが大切だと思います。
僕の場合は、省庁の業務説明会が終わると、家に帰り、パソコンに、印象に残った話や自分のした質問に対する答えなどを残しておきました。また、合格者や友達などと話して、「これは使える」と思ったものについても、忘れないうちにパソコンに打ち込んでおきました。そして、これを何度も見返して、官庁訪問の際もプリントアウトしたものを持参してちょこちょこ見ていると、その記憶が頭の片隅に残り、何かの拍子にそれをネタに会話が進んだりしたこともしばしばありました。
[4]官庁訪問ノートを作る
これは合格者サークルで僕が合格者から実際に薦められたものです。僕もこれを薦めたいと思います。
官庁訪問ノートとは、官庁訪問の際にどのような話をしたのかをメモしておいたものをいいます。面接官からされた質問やそれに対する答え、こちらからした質問とそれに対する面接官の答えなどをメモしました。面接終了後に時間があればノートにこのメモを残すのですが、その過程で「こんなことも聞かれたよな」「これに対してはこう答えたっけ」と頭の中が整理されるのです。
これはどんなときに役に立つのかというと、「前の面接官とはどのような話をしましたか?」と聞かれた際に、スムーズに答えることができるのです。この質問は結構ありました。また、このような質問をされなくても、「前回こういう話を聞いたのですが…」と、さりげなく話のネタにすることもできるのです。
官庁訪問ノートとは別ですが、原課の方による業務説明の際にはパンフに積極的にメモをするというのもよいでしょう。もっとも、これについては友達の中には「面接官の説明中にメモをするのはいかがなものか」と反対する人もいましたが、僕はメモすることにより不利益を受けたという印象は感じませんでした。
ちなみに「官庁訪問日記」は、この官庁訪問ノートを参考に書いたものです。このような企画(「官庁訪問日記」)でノートを生かそうと思い、わざわざ時刻までノートにメモしておいたのです。逆に言えば、「合格後はこのような企画に参加したい!」という強い気持ちをもって官庁訪問に臨んでいたのでした。
[5]自分の中のマイナスの部分をプラスに変換して言えるようにする
これは非常に難しいことです。「サークル活動は一切やらなかった」とか「サークルには入ったが長続きしなかった」とか「なんとなくふらふらと留年してしまった」など、いろいろなことがあると思います。ちなみに僕の場合は、「司法試験を断念して公務員試験へ転向した」というマイナスに見られがちな部分を克服するのに最も苦労しました。
しかし、物事は必ず両面から見ることが可能だと思うのです。つまり、マイナス側から見ればそれは減点対象となったとしても、それを別の面から見ることも可能であって、その別の面から見ればプラスに捉えることもできると僕は思うのです。例が極端ですが、「職を転々と……」と言えばマイナスの響きもしますが、「豊富な職務経験を生かして……」と言えば違ったふうに聞こえるでしょう。もっと別の違ったよい言い方もできるかもしれません。
このように、「これについては聞かれると答えに窮する」というような質問であっても、それに対して何とかプラス志向で答えられるように事前に考えておくことが大切です。
以上5点、僕が官庁訪問を通じて感じたことを簡単に書いてみました。この官庁訪問日記を読んでもっと具体的に聞いてみたいことがありましたら、遠慮なく質問して下さい。
試験まであと5ヵ月を切りましたが、「来年は自分が後輩にいろいろと話すんだ!」という強い信念を持って官庁訪問に臨んで下さい。きっと道が開けるはずです。
(完)
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