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関東大震災Uに備える(2)-東北関東大震災を乗り越えるには早急に危機管理のプロを結集すべきである (11/03/19)

 関東大震災Uに備える(2)を書く前に2011年3月11日東北関東大震災が起きてしまった。

 2011年1月18日にあるところに私は以下の記事を書いていた。

 「大地震は日本では不可避だと思うが、阪神・淡路大震災は人災の側面も非常に強かったように思う。
 高速道路が倒壊し、火煙の柱が何本も立っているTVの映像を見て、その下に多数の人間が埋まっているという事実をなぜ政府関係者は想像できなかったのだろうか?
 初動の遅れが多くの命を奪った。
 この教訓がこれから起こるであろう大地震に活かされるのであろうか?」

 今回、阪神淡路大震災の時の自衛隊の派遣はしないという現実離れをした愚かな決定はなかった。

 当時、防衛庁では、元事務次官の守屋氏(当時は課長)が早い段階から防衛事務次官に自衛隊の派遣を直訴したが、却下されていた。

 後に、東京都知事の石原氏が「あの時、初動が遅れ、多くの人が死んだ」と主張したところ、前・現兵庫県知事の二人が猛烈に反発した。
 しかし、危機管理の専門家である佐々淳行氏は明確に石原知事を支持している。

 今回は自衛隊に加え米軍の協力もあり、その点、進歩がみられたが、大津波と放射能は想定外であったとしても、阪神淡路大震災の時と同じように、被災者には情報・水・食糧・生活物資・医薬品が十分に届いていない。

 誰(国・都道府県・市町村)が、どの場所に、誰(自衛隊・米軍・警察・消防・救急車・給水車など)を、何時派遣するか、情報の収集・分析・対応の一元化が不十分なような気がする。

 阪神淡路大震災に遭遇し、電話をかけ続けたが官邸からほとんど無視された「さきがけ」(当時の連立与党の一つ)の国会議員がいた。高見裕一氏がその人である。
 彼が『官邸応答せよ』(朝日新聞社)で書いた教訓は今回あまり生かされなかったようである。
 この本は国や地方公共団体の防災担当者の必読の書であると思うが、2008年の時点で1刷で絶版になっており、アマゾンで1円プラス送料で3冊も買えたこと自体悪い予感がしていた。

 しかし、私も微力ながら地震が起きるたびに国T1次合格者の面接指導で大地震における省庁別の対応について質問を重ね、注意を喚起してきた。

 今回の大震災で枝野官房長官は不眠不休で対応に当たりネット上では人気急上昇とのことである。

 それはそれで結構なことだが、今、内閣危機管理官は何をしているのか疑問が生じた。

 その疑問に答えていた人がいた。初代内閣安全保障室長・佐々淳行氏である。http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110316/dst11031603430012-n1.htm

「今の側近は、未熟、未経験、不勉強で、危機管理の補佐官はいない。今、大事なことは、予備自衛官を招集するより阪神大震災や東海村原発事故を処理した各省の官僚OBを非常招集して地震と原発の諮問委員会を速やかに立ち上げることだ。名指しすれば、元官房副長官の的場順三、外交評論家の岡本行夫、元警察庁長官の国松 孝次、元運輸相官房長の棚橋泰、元陸将の志方俊之の各氏らを三顧の礼をもって官邸に非常招集、OBの諮問委員会を設置すべきだ。

 枝野幸男官房長官は、内閣広報大臣としては適任だが、「安全保障会議設置法」では、今回のような大災害の統一的指揮権と責任は官房長官にあり、補佐役は経済産業省原子力安全・保安院ではなく内閣危機管理監であることを思い出してほしい。国内外のボランティアを国が受け入れて、奉仕団を組織するのも国の仕事である。 」

 佐々氏が挙げた人の他、佐々氏をまず含めるべきである。

 放射能汚染の危機回避を含め、この国の英知を集め、この今の危機を一刻も早く乗り越えるべきであると考える。


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