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私はこう考える

東日本大震災からの教訓―原発爆発は予見されていた!― (11/09/24)
 先日、NHKのETV特集「アメリカから見た福島原発事故」をNHKオンデマンドで見た。

 http://www.nhk-ondemand.jp/opus/G2008000000MC000/N201103172700000/

 福島第一原発(マークT)は最初から構造的に危険だったとGEの元技術者や元国立研究所の科学者が指摘していた。

 彼らの発言を私なりに要約すると以下になる。

 1.福島第1の原子炉(マークT)は、地震や津波といった重大事故に弱く、そのためアメリカではマークTは地震の少ない東部でしか設置されていない。

 2.マークTはコストを下げ、競争力をつけるため、格納容器を小さくした。GEは原発ではアメリカで赤字だったが、日本で黒字を出していた(GE元幹部によると「日本人は(設計変更でも追加でお金を払ってくれて)いい人だった」とのこと)。

 3.その結果、原発事故の場合、マークTでは圧力抑制プールに負担がかかり、炉心溶融→水素爆発→放射能漏れの危険性が高かった。このマークTの欠点はすでに1970年代後半以降指摘されていた。

 4.そこで、マークTの格納容器が小さく、圧力抑制プールに負担がかかるという欠点を補うため、ベントによって水素を逃す方法が考案された。

 5.ベントによって放射性物質も放出されるため、アメリカでは全部の原発にフィルターを付けた。しかし、日本では安全神話とコスト高からフィルターは皆無だった(そのため今回ベントをためらったと思われる)。

 6.日本での安全神話の元になったのは、「原発事故は隕石に当たって死ぬより確率が低い」というアメリカのラスムッセン報告(古いアメリカの通説)である。さすがその説はアメリカでも確率論を専門とする学者によって疑われた。

 7.スリーマイル島原発事故の後、ラスムッセン報告はアメリカでは見直しの機運が高まったが、日本では「アメリカと日本は違う(日本は大丈夫である)」ということで、その報告書だけは今までと同じく金科玉条のごとく死守された。

 などと実に情けない話が聞けた。

 ぜひ、読者にも見ていただきたいが、なぜか今は配信は停止となっている。

 他に印象的だったのは、外部電源をすべて失った今回と同じ事故のシミュレーションを既にしていた科学者がいたことである。
 彼は日本の被災者に深い同情を示していたが、それと同時に、過去に予想を的中させていた科学者としての自分に興奮していたような感じも受けた。
 
 当初、東電関係者が言っていた「想定外」とか「未曾有の大地震・大津波」とかいう言葉は道義的責任と法的責任を回避する呪文である。無過失責任でも不可抗力の場合は免責されるからだ。

 枝野前官房長官(現経済産業大臣)は、事業仕訳では原発の防災対策費を削減したようであるが、、「今回の原発事故は不可抗力ではない。人災である。」と明言しただけでも、相殺しても十分に余りあると思う。
 
 また、菅前総理の業績についてはどうかと思うようなものが多かったが、彼の一番の業績は、現場と直接コンタクトを図り、東電上層部が示唆した原発事故からの撤退を許さなかったことだと思う。

 再配信の折には、ぜひ関係者(公務員受験生も含む)にはNHKのETV特集「アメリカから見た福島原発事故」を見てもらいたい。


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