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国家公務員住宅を考える (11/10/11)
 国家公務員住宅が最近、特に問題となっている。

 やはり批判意見が多い.

 しかし、逆説的だが、私は公務員住宅は以下の条件を守ることができれば別にかまわないと思う。

 まず、第一に霞ヶ関の近くでなければならない。
 大災害の時にすぐに中央省庁に駆けつけられなければ国民も困るからだ。
 また激務を強いられている人も少なくないので、職場に近い住宅がぜひ必要だと思うからだ。
 今、特に問題となっている、朝霞のように遠くに住宅を作っても意味はない。
 今、建設を止めると違約金が必要だとのことだが、それならば建設してしまい、賃貸に回せばよい(税収も期待できる。地元も潤う)。管理も民間に任せたほうがいい。

 また、第二に重要な条件がある。付近の民間住宅の家賃との差額分を収入として認定し、賃借人(公務員)はその分の税金を納めるべきである。

 税理士とも話したのだが、財務省の通達では、民間では差額分を収入として認定するのに、公務員は括弧書きで例外扱いとなっている。これはおかしい。
 例えば、年収600万円の民間人が家賃14万円相当の社宅に4万円で住んでいた(月10万円の補助が出ている)場合、差額の10万円×12か月分の120万円は収入として認定されて、720万円の年収ということで課税される。
 ところが、年収600万円の公務員が家賃14万円相当の部屋に4万円で住んでいても、差額の10万円×12か月分の120万円は収入として認定されず、600万円の年収ということで課税されるにすぎない。 このように民間人と公務員を差別する合理的理由はないので、憲法14条違反である。

 また税金の重要部分は法律で決めることになっている。これを租税法律主義(憲法84条)という。これは2011年の国T2次論文試験の憲法の小問(1)でも出ている。事務系のキャリアだったら誰でも知っている憲法の基本原則である。
 租税法律主義によれば、公務員を優遇するこの措置(権利・義務に関わっている)は法律で決めなければ、法律の委任のある政令または更に政令の委任のある財務省令(法規命令)で決められなければならない。 しかし、実際には、財務省の内部規範にすぎない通達(行政規則)で特別扱いが定められている。これでは、租税通達主義となり、憲法84条違反である。
 通達によって課税されなかった金額は地方公務員も含めれば相当な額となろう。

 よくよく考えてみると、憲法違反だと事を荒立てなくても、通達で定めているならば、特別扱いの例外は、財務大臣の命令で今日にでも削除できる。
 この点を国会で誰も追及しないのはおかしいと私は以前から思っている。

 財政再建は国民の多くが賛成するところで、もはや増税もやむなしと容認しつつあるが、天下りの問題以外に財務省をはじめ中央省庁は他にも何か特権を国民に隠している(例えば、総務省は、隠してはいないが、国家公務員のボーナスを、世界一の給与水準である管理職を除いて、公表している)のではないかという疑いは晴れない。

 まず、自らの通達・姿勢を改め(適切な情報公開も必要)、襟を正すべきである(「李下に冠を正さず」)。
 そうすれば、かつての官僚のように国民の信頼が得られ、財政再建・増税にも道がつけられるのではないかと思う。


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