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私はこう考える

東日本大震災からの教訓―なぜ東日本大震災で情報の伝達が不十分(遅い・少ない・隠す)だったか?― (12/2/15)
 2011年3月11日の大津波情報の伝達にも問題があったが、原子力発電所の爆発事故に関する情報の伝達は実にお粗末であった。というよりSPEEDIで分かっていた放射線量の高い地域に長期間被災者を避難させてしまったというのは殺人的ですらある。

 なぜそうなったかは改めて検証を待たなければならない。

 一ついえることは、日本では情報公開法の制定・施行が遅れており、そのため大多数の公務員には情報公開の意義や開示(公開)・不開示(非公開)の区別の基準がまるでわかっていなかったからではないかと考えている。

 日本の情報公開法は平成11年(1999年)に制定され、平成13年(2000年)から施行されている。

 情報公開法が公務員試験の試験問題として初めて出たのは、平成13年の国家 I 種法律職(2012年からの国家総合職の法律区分に相当)の2次論文試験で、1次択一試験では平成14年からである。

 その後、1次試験では毎年出るがせいぜい12問中1題で、出ない年もある。2次論文試験ではその後は全く出ていない(2012年は出る可能性がある)。

 という次第であるから、法律職のキャリア公務員といえども30代の半ば以上は(情報公開を担当した人以外は)情報公開法の中身をまるで知らないといってよい。

 30代前半以下の実力派の若手がかろうじて情報公開法を知っているにすぎない(ただし、1題しか出ない情報公開法を捨てたり、過去問の選択肢を丸覚えして何とか受かったような人はもちろん知らない)のが現状なのである。

 原発事故に関連していえば、人の生命・健康に関する情報は開示しなければならない情報である。

 上の判断を仰ぐ必要がある、パニックになる可能性がある、守秘義務がある等と考えて開示しなかった公務員もいるかもしれない。

 しかし、原発の近くの被災者が自分の家族だったら言うだろう。

 「危ない! 一刻も早く逃げろ!」と。

 昭和50年代東大法学部の憲法や行政法の先生方は先進国(Japan as No.1)であるはずの日本で行政手続法や情報公開法が未だ制定されないことを嘆いておられた。

 もう少し早く情報公開法が制定・施行されていれば、東日本大震災においても、情報の伝達、開示、管理(議事録がなかったのも驚きだったが、情報管理意識の欠如を物語る)などがもっと適切にされていたのではないかと思う。



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