■2000年6月の最新本試験情報 |
とうとう今年で最後の外 I の本試験が始まった。そして、6/11の国
I の本試験も近づいてきた。気になるのは、官庁訪問(建前上は1次の発表後)の前の業務説明会である。12日から実施するところが多いようである。本試験前に、必ず志望官庁に日程を確認し、予定を組んでおこう。 |
以前にも触れたが、今年の官庁訪問は、建前上は1次の発表後である。しかし、各省庁は、1次終了後に業務説明会をするようである。しかも個別の(?)業務説明会を頻繁にするところが多いようである。結局、昨年の官庁訪問とほとんど異ならないことになる。受験生もそのつもりで12日から積極的に廻ること。 |
6/4、最後(?)の外務 I 種試験が終わった。今年は、速報会は実施しない(外専は実施予定)。しかし、『解答速報』はWセミナー受講生に無料で配布される予定である(詳細は、そちらに譲る)。
ここで、憲法について簡単にコメントしておく。全体として大石色が強いというのが第一印象である。
人権の第1問目は、樋口先生の出題であろう。性教育を題材にしているが、「国家からの自由」と「国家による自由」の対立の図式で解答できる(ただし、学校長または教師の自主的判断に基づく場合は、教師の教育の自由と親の教育の自由が衝突することになる)。判例の枠組みで、「国民教育権説」と「国家教育権説」の対立の図式で解答してもよい。
人権の第2問目は、大石先生の出題であろう。以前の最新本試験情報(5/29)でも示唆したが、『憲法の争点』に解説がある(58「住居の不可侵」)。外交官論文答練でも類題が出ている。
統治の第1問目は、おそらく大石先生の出題と思われる。今年の出題では、一番難しい問題と思われる。国会法と議院規則・慣習との関係、司法審査の是非を問うものである。この問題も、以前、最新本試験情報(5/29)でも取り上げた「憲法問題としての『国会』制度」にヒントがある。
統治の第2問目は、樋口先生の出題と思われるが、大石先生も関心の高い分野である。裁判を受ける権利と関連づけて陪審制と実質的証拠法則の是非を問うものである。陪審制は、最新本試験情報(5/29)ではダークホースに挙げているが、実質的証拠法則を含め、外交官論文答練で類題が出ている。
憲法に限ると、真面目に講義と答練を受け、ちゃんと復習していた人には2問とも充分に書けたのではないかと思う(今になって、「ちゃんと復習しておけば!」と思っても、もう遅い)。人権・統治の第2問目では答練で類題が出ているし、人権第1問目は樋口先生の『憲法』以外の薄い本にもヒントは出ているからだ。 |
とうとう国 I 本試験の前日となった。どうあがいても時間は元には戻らない。明日の朝の教養試験のことを考えると、今日は特に気になるところのみチェックし、早めに寝よう。「今年狙われる重要判例」は平成10年の重要判例の一部である。平成10年の残りの重判は『重要判例解説』、平成9年よりも前の重要判例は、バックナンバーの「今年必ず出る判例」で必ず押さえておいてほしい。
日本と世界にとって有益なキャリア公務員の卵が合格することを念願し、健闘を祈る!
なお、6/11の午後6時からWセミナー東京本校で官庁訪問情報交換会兼出陣式を行う。ぜひ参加してほしい。 |
6月11日、国家 I 種1次試験が終了した。教養は、知能の文章理解、特に、英語が難しかったようである。また、知識は普通のレベル(模試レベル)であったようだ(一部、易しいという人もいた)。「難しかった!」「足切りが心配だ!」との声を多く聞いた。勝負(合否・順位)は、午前中で決まったか? 専門では、行政系が難、法律系が易、経済系が普通〜やや難とのことである。法律系では、特に、憲法・行政法・民法は易しかったようで、「キャリア公務員を選抜する試験として適切なレベルか?(低すぎる!)」との意見すらも聞かれた(昨年は、重要な法案が多く通り、問作まで手が回らなかったのか?)。これに対して、マイナー科目の商法は難しく、また、労働法はマイナーな分野から出ており、普通レベルの刑法と比較的易しかった国際法で差がついたものと思われる。
ともあれ、1次試験は終了した。12日から業務説明会(官庁訪問)が始まる。2次の勉強も視野に入れつつ、最後までがんばってほしい。 |
事実上の官庁訪問が始まった。本試験の時に配られた人事院の資料には、1次発表前の業務説明会は合否・採用には関係ない旨、記されていたとも聞くが、合否に関係なくても、採用には大いに関係ある。事実上、選考は始まった。早い人は水曜日か木曜日にまた来るように言われている。
それがいいかどうかは疑問だが、建前と本音の違いを現実に痛感するのが官庁訪問である。 |
都庁 I 類の本試験が6/18に迫った。昨年と同様、激戦が予想される(国
I とのダブル合格者は少なかった)。模試や択一答練で正解率が高いにもかかわらず間違えた問題を中心に復習しておこう。また、論文試験についても模試以外に何題か自分で予想し準備しておこう(過去問がそのまま出されることもある)。本ホームページの「今年狙われる重要判例」の番外編も必ずチェックしておこう。 |
6/19 |
都庁 I 類・国税・裁判所事務官試験終わる |
6/16都庁 I 類試験が終了した。教養試験は、国
I 併願者には比較的簡単だったようだが、一般の受験生には知能が難しかったようである。思想では『ソフィーの世界』からの抜粋、映画では黒澤明が出たりして話題性に富む出題だったようである。専門はレベル的には普通らしい。憲法の論文では、来年の省庁再編成がらみで内閣の権能(強化)が出ているが、行政法では行政裁量と司法統制、政治学では政治的無関心と実にオーソドックスな出題だったようだ。なお、時事論文は1.私の考える国際化 2.IT革命とこれからの社会と、これまた予想された問題だった。
なお、国税は教養が難しく、論文では憲法で憲法改正が出たらしい。裁判所事務官は、教養が簡単で、専門はやや難しかったようである。 |
官庁訪問が第2週目に入った。すでに切られた人もいるが、今週から絞り込みが本格化しよう。昨年よりも訪問者も少なく、その結果、絞り込みのペースは遅く、第2週の月曜朝一は内定のメルクマールとはなっていないようだ。むしろ今週の金曜日に26日発表直後に来るように言われるかどうかがポイントとなろう。
雨と暑さに負けずがんばってほしい。 |
地上・特別区・都IIの本試験がに迫ってきた。いずれも定数が少なく、激戦は免れない。昨年もそうだが、独自の勉強をしていないと、国
I 合格者レベルの人も落ちる。しかし、問題自体は基本的なものが多い。取りこぼしのないよう、セレクション・模試・択一答練・問題集等の最終チェック(正解率の高い問題で間違えたものは必ず)に力を入れてほしい。また、必ず早起きし、午前中から教養(特に、知能)で頭が回転するようにしておこう(ここで、差がつく)。 |
第2週の月・火を経て、早いところでは事実上の内定が出たところもあるようである。しかし、全体的に昨年よりもスローペースであり、未だに数多くの受験生を囲っているところが少なくない。だが、金曜には試験委員を出している省庁を中心に絞り込みが本格化すると思われる。ポイントは、「26日発表直後に必ず来るように!」と言われるかどうかである。ただし、26日の発表を見て、後発組(建前を信じた組)も含め、選考に入るところもあるかと思われる。既に切られてしまった人も、建前論で敗者復活の可能性もある。
正確な情報を集め、分析し、暑さやプレッシャーに負けず、果敢に行動しよう。 |
複数の省庁で内定が出始めた(中には複数もらっていて、26日朝一でどこに行くか悩んでいる人もいる)。
もちろん26日の発表を受けて、今までの絞り込みによる2軍と新規参入組を見比べて選考するところ、または26日以降の枠を設けているところもある。
26日の発表も近づいた。正確な情報に基づいて、最後までがんばってほしい。 |
国 I 1次試験の発表の日となった。実は、多数の合格者に24日に合格通知が届いており、受験生の間に動揺・混乱が見られた。おそらく地方受験生の為に23日に通知を発したのが、都内を中心に翌日多数着いたものと思われる。
ほぼ内定者は確定している。内定者は第一志望に直行すれば、ほぼ決まりである。しかし、建前どおり発表後選考に入る(1次落ち・残された建前枠の補充のための2軍と新規参入組からの選抜)省庁もある。未内定の1次合格者もがんばってほしい。 |
6月26日に国 I と外 I の合格発表があった。国
I の1次合格者は、行政職134人、法律職506人、経済職263人などで、このうち2次で約半数に絞られる。また、内定者はその半分となる(1次合格者の約4分の1)。事実上、内定者の大枠は決まったが、まだ1次落ちの補充・新規参入組枠の補充で調整中の官庁もある(今週中には、ほぼ決まろう)。2次発表後には2次落ちの補充をする省庁もある。未内定者も最後まで諦めないように(人事院のホームページ採用予定数参照)。また、外 I は1次で70人合格したが、2次で何と20人弱となる。まだまだ緊張の日々が続く。最後までがんばってほしい。
また、残念ながら落ちてしまった人は本当に辛いもしれない。しかし、素直に実力不足を反省し、どう行動するか考えよう。それが次の君の運命を決めることになる。人生の試練と思って立ち上がってほしい。 |
全くの誤解に基づくものであるが、官庁訪問のフライングを私が煽ったがごとき表現が一部ネット上で見られた。明らかに侮辱罪に相当する(事実を摘示していないので、名誉毀損罪ではなく侮辱罪が成立する)。
本ホームページを正確に読まれている大半の受験生には理解していただいていると思うが、そもそも、私は、本音と建前の使い分けを強いる今のやりかた(事実を何も知らない地方受験生に不利)がいいとは思ってはいない(6/14記事参照)。私も受験生時代に心の葛藤があったし、個人的には一括採用がいいと思っている。また、キャリア・システムも今のままでいいとも思ってはいない(「日本の今を考える」参照)。
だからこそ、原則として、時間の許す限り、大学にこだわらず、また、受講生にかかわりなく、正確な情報(特に情報の少ない地方在住者のために、有力大学でも合格可能性の高い学生から得られた信頼のおける確実な情報)を提供してきたつもりである。その情報を信ずるかどうかは読者と私達の信頼関係による。しかし、現実には、ほぼ正しかったことが証明されている。特定の流れを作ろうとか、そういう意図は全くない。情報交換会=出陣式に参加した人も200人(説明会=官庁訪問であることを知っている人を含む)を超えてはいない。本ホームページがIT革命に乗り遅れているキャリアにはそれ程の影響力があるとも認識していない(同級生とか教え子のキャリアが見ている可能性はあるが……)。
ともあれ、今回、情報を提供しなければ、試験前に説明会を実施した特定の有力大学生のみが有利に扱われる可能性が高かった。12日からの説明会=官庁訪問であるとの情報は、試験前の説明会に参加し、再び来るよう呼び出しを受けていた特定の有力大学の優秀な学生の間では半ば通説化していた。しかし、優秀な学生であればあるほど素朴な正義感から公正な競争を望むものである。後になって不公正な採用をされたというレッテルを張られたくないからだ。だからこそ自分が不利になるのをあえて承知で私に情報を提供してくれたのだと私は思う。私達は採用する側ではない。国民の一人として受験生の側に立つものである。
しかし、不都合・不合理な現状であれ、それを認識して、行動(合格・内定)しなければ、内からは何も変わらない。キャリアとして中に入って古い因習を改革してほしい。外からの言論の自由はあるが、少なくとも合格していなければ説得力もない。それが現実である。
ただ、今回のようなことが繰り返されようであれば、残念ながら信頼関係を結べる特定の受講生と会員に限定した情報の提供(現在、ゼミ生のみに掲示板を開放しているが、それを一般化する)を検討せざるを得ないのかもしれない。読者の皆さんの建設的な意見を待ちたい。 |
6月も、もう終わりである。7月に入るとすぐに国
II と外専の本試験がある。
国 II の本試験(専門試験)は標準的な問題が出る。各科目、穴を作らないよう最終チェックをしておこう。本ホームページ(バックナンバーも含む)の判例(憲法・行政法・民法)からもかなり出るだろう。
国 II の教養試験は外専と同じである。受験生のレベルアップに伴い、今年は難化するかもしれない。いきなり最初から問題を解かないで、10分くらいは問題をざっと見て、知識と知能の難易度・時間配分・解く順番、解答する(時間をかける)問題と解答しない(時間をかけない)問題の見極めをつけてから、解答しよう(時間切れを防げる)。
外専の専門試験対策としては、バイブルと答練・模試のレジュメを再チェックしよう。憲法について言えば、例年2題は当たっている。今年は、サイクル的に人権2題・統治1題の年である。人権にやや力を入れて復習しよう。大石先生対策は、外
I の時に触れた(5/10と5/29の記事参照)。
渋谷先生対策としては既に講義・答練等でも言及したが、ここから先は既に復習が済んでいる人のためのものである。先生は昨年の4月号から『法学教室』の演習を担当されている(その中には既に出題されたものもあるが、そうでないものもある。後者に注意しよう)。また、先生の最近の研究テーマは違憲審査基準である(芦部『憲法』や『憲法判例を読む』で確認しておこう)。さらに、先生は『憲法判例百選
I 』では「情報公開と知る権利」(情報公開法は2001年4月に施行される)、『憲法の争点』では「裁判を受ける権利と非訟事件」を解説されている(手元にある人は読んでおこう)。最後に、先生は、「条例制定権の限界」とか「地方公共団体の権限配分」について論文を書かれている(芦部『憲法』やバイブル・答練・模試レジュメで復習しよう。ただし、新地方自治法が2000年4月から施行されているので改正点に注意しよう)。全部のチェックが無理な人は、各自の実力・判断(インスピレーション)を信じて、その幾つかでも潰しておこう。
幸運を祈る! |