■2002年8月の最新本試験情報 |
公務員制度化改革の一環として、政府は2003年から国家
I 種2次合格者を内定者の4倍とする方向で動いている。しかし、これは受験生の立場を全く無視したものである。内定のない合格者は民間の秋採用か、翌年の再受験・民間の就職活動を強いられる。内定者の顔ぶれを見る限り、2001年のように内定者の2倍、2002年のように2.5倍程度でも充分である。
また内閣主導の名の下に、省庁別採用を維持しているのも問題がある。内定者は、採用の段階から、国家公務員になるよりは何々省庁の職員になるという意識を持ち、セクショナリズムに拍車をかける。一括採用が望ましい(地方公務員ではそれで問題ない)。専門性を重視するなら、数年かけて複数の省庁の仕事を経験させ、その中から帰属省庁を決する(決しない選択も認める)システムが望ましい。
ロースクール出身者を優遇するとの案もある。一定の職種では有効性がある。しかし、公務員には他に行政法や国際法の知識が要求される。また、経済・財政の知識も必要である。したがって、ロースクール出身者をそのまま優遇するプランには問題がある(一定の試験がいる)。もっとも現行制度にも問題がある。幅広い専門的知識をもった人が合格できるよう、特に専門試験の問題の内容を練り直す必要がある。
公務員制度をどうするかは、国民にとっても重要な課題である。法律事項である(現在は人事院規則や先例・慣行に委ねすぎである)以上、国会での充分な審理が望まれる。 |
人事院は、8月19日(月)、平成14年度国家公務員採用I種試験の合格者を発表した。もっとも、すでに17日(土)の段階で合格通知の届いている人も関東地方では少なくなかった。
合格者数(1615人)は、昨年度(1308人)に比べ、23.5%(307人)の増であった。今年は私大生と女性の健闘が光った。すなわち、私立大学出身の合格者は377人(昨年度291人)で、合格者に占める割合は23.3%(同22.2%)であり、女性の合格者は235人(昨年度199人)で、合格者に占める割合は14.6%(同15.2%)で、合格者数としては過去2番目(法文系では最大)であった。
「合格者については、人事院から各府省に提示され、各府省による面接などを経て、概ね来年4月に採用されることになる」のが建前である。しかし、各種新聞では全く報じられていないが、内定者は法文系では8割以上が事実上確定しているのが現実である。
来年の最終合格者については政府は内定者(採用予定者)の3〜4倍とする予定である。しかし、人事院は受験生の立場と情実採用の危険性を考慮し、反対の立場を採っている。したがって、来年の合格者数がどうなるかは流動的である。 |
外務省は、8月9日(金)1次合格者を発表した。合格通知が合格者全員に届かないというハプニングがあったが、電話・ファックスで全員に後日通知された。合格者数は116人である。内訳は男性52人・女性64人であるが、最終的には21人ずつに絞られる見込みである。教養重視の昨年とは異なり、今年は特に語学が重視されたものと推測される。しかし、受験生の立場を考慮すると、試験科目の配点の公開が望まれる。 |