■2002年11月の最新本試験情報 |
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2003年の国家 I 種1次試験は5月5日! |
先日、人事院は2003年の国家 I 種1次試験を5月5日(月)に実施することを発表した。2次試験は6月1日(日)から。最終合格発表は6月27日(金)。官庁訪問は2002年(1次合格発表後)と異なり、最終合格後の予定である。
全体として昨年より1ヶ月以上早まっている。人事院によると、その理由は「最終合格発表前の内々定の不透明さをなくし、受験者がほぼ今年と同じ時期に最終合格者として各府省の採用面接を受け、内々定を得られることとするため、平成15年度
I 種試験の日程を次のように早期化・短縮化を図ることとしました」とのことである。
【参考】http://www.jinji.go.jp/saiyo/fnew151.htm |
11/10 |
2002年の国家 I 種試験とその波紋 |
11月7日(木)午前の官房長官の談話によると、国家
I 種試験の2003年度の採用に関し、内定数は632人で2002年度の採用数とほぼ同様となっている(事務系区分「行政」「法律」「経済」の内定数は290人で昨年より25人増)。また、事務系区分内定者に占める女性の比率は、2002年度採用と同程度(18.3%)で、内定数としては過去最高となっている。
【参考】http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/rireki/2002/11/07_a.html
また、人事院の発表によると、(1)2002年度
I 種試験「行政」「法律」「経済」区分の合格者数は、採用予定者数の1.9倍から2.5倍に増加することによって、合格者を出した学校数は、前年の41校から58校へ増加したが、内定者のいない学校数は、前年の16校から33校へ倍増している。(2)内定が得られなかった合格者は、407人(合格者の約6割)で、このうち他に就職が決まった者は約3割、求職活動中、大学院進学・留年等とした者は約6割である。(3)
I 種・ II 種重複合格者は123人で、前年に比べ約6割増加した。
【参考】http://www.jinji.go.jp/saiyo/fnew151.htm
しかし、国家 I 種採用内定者の出身校は2001年と同じく、25校にとどまったため、私立大学を中心に内定者のいない33校の最終合格者・関係者の不満が高まっている。政府の行政改革推進本部の「門戸を広く開放し、多様な人材を集める」目的は全く達成できなかった。
【参考】http://www.gyoukaku.go.jp/news/h14/news0802.html
2003年、当初の方針通り採用枠の4倍まで最終合格者を増やし、内定(採用)者を2002年並みに抑えれば、約870人の不採用者が生まれる。
採用枠を広げる一方で、最終合格者数を減らすことが根本的に望まれる。 |
11/15 |
国家 I 種合格者の大幅増は国益を損なう! |
最近の新聞報道によると、内閣官房の行政改革推進事務局と人事院が2003年の国家
I 種合格者を内定者(採用者)の4倍とする計画について対立しているとのことである。
内閣官房は人物本位を主張し4倍案を主張するが、人事院は情実採用の弊害を指摘しこれに反対する。本来公務員制度をどうするかは法律事項である(憲法73条4号)から、国会でもっと議論する(法律で大枠を決める)のが筋である。また、公務員試験制度を従来のように独立行政委員会である人事院に任せるか、国会(法律)のコントロールを受けつつ内閣主導で行うのがいいのか、さらにはキャリア制度そのものも議論しなければならない重要なテーマである(いずれにしても官僚に丸投げして自分達でほとんど議論しない政治家の責任は大きい)。しかし、ここでは当面の問題である合格者増の当否について述べる。
本サイトでも指摘したことだが、合格者の9割は合格者増加前の席次に収まっていた。合格者増で得をした人は内定者のわずか1割の30人。「人物本位」との内閣官房の主張は当を得ていない。他方、内定者が東大・京大を中心とした有力大学の学生へ集中する傾向は昨年と同じであった(東大・慶大・早大・京大・一橋の5大学で85%。5大学を含む25大学で100%。33校では内定者0人)。さすがに国会議員の口利きがあった話は聞かないが、先輩の多い大学の学生が内定をもらい易いのは大手民間企業でも同じことである。その意味で人事院の主張に正しいものがある。
一番問題なのはむしろ合格者の学力低下である。渡辺ゼミ生だけでも2002年(法律職)の1次試験(95点満点)で合格者に何と26点以上の開きがあった。例えば、仮に、A君が憲法(6点)・民法(12点)・行政法(12点)・国際法(5点)の4科目で26点を取り、他方、B君が4科目0点であっても他の科目でA君と同一の点数(最低合格点の54点)を取れば、B君も1次に(もちろん2次にも)受かる可能性があるのである。これは極端な例えであるが、芦部『憲法』や塩野『行政法』といった日本を代表するテキストをほとんど満足に読んだことのないような合格者もゼミ生以外では出始めていると聞く。また、国家
I 種は合格したが、それ以外の試験(当然国家
II 種も含む)にはすべて落ちたというような合格者も少なくない。国家
I 種最終合格者の学力のレベルを維持するためには、1次合格者は内定者の4倍、最終合格者は内定者の2倍が限界であろう。
そもそもなぜ魅力のある人材が少なくなったかを考える必要もある。削減されていく一方の学習指導要領の影響、問題発見能力・討論能力を磨かない大学教育(手前味噌になるが、関東以外の私大の内定者は5人いるが、そのうち3人は渡辺ゼミ生であった)、外資や司法試験(若手優先枠や合格者増)の影響、キャリア公務員の相次いだ不祥事の影響、さらには若手キャリアの過酷な勤務状況等などもマイナス要因となっている可能性がある。
にもかかわらず公益のため公務員を目指そうという若者は少なくない。このような若者を生殺しにするような現行の公務員試験制度は決して望ましいものではない。「最終合格者を減らし、採用者を増やす」、それが無理ならば、「国
I と国 II の区分をなくし、国 I に一本化し、全体として採用者を減らし、実力主義に改める」ことが望まれる。 |