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受験に役立つ書籍・ビデオ
 『シンプル・ビューティ』(川原亜矢子、幻冬舎) 1400円+税

 筆者はトップモデルで女優の川原亜矢子。彼女は、18歳で「キッチン」で映画デビューし、19歳でフランスに渡り、パリコレモデルとなる。26歳で帰国し、現在に至る。おかっぱ頭でにこにこ笑っていた少女は、フランス仕込みのエレガントな大人の女性に変身していた。

 内面の美しさ、すべての経験が表情に出る。それが彼女の信念である。だから、彼女は、愛犬と散歩したり、音楽を楽しんだり、本を読んだり、映画を見たり、人と話したり、旅に出たり、恋をしたり、内面を磨くことにいつも力を入れている。もちろん、「おしゃれ」は「人間として生きるうえで重要なことだ」から、それに必要なあらゆる努力を惜しまない。パリで学んだ知識・経験も多いが、お茶を飲んだり、米ぬか美白も採り入れたり、日本の着物に憧れたり、美しい話し方、尊敬語と丁寧語の正しい使い方に気を配ったりして、彼女はいい意味での「日本人らしさ」も充分に兼ね備えている。そんな彼女の目尻の皺も「烏の足跡」ではなく、本当に綺麗でかわいい。結局、彼女の生き方は男性の目から見ても「格好イイ!」の一言に尽きるのだ。

 彼女のようなエレガントな女性は観賞用に見ているだけでも充分満足である。男としての立場からは、いつまでも理想の女性のままで、かつ中身がなく下らない男性に毒されない無菌状態(?)のままでいてもらいたい。
 ただ、愛犬のソレイユ(メスである)が彼女の心のよりどころというのは少し寂しいような気もする。また、理想の男性像も書いてほしかった。男性としての努力目標ができるからだ。ただ、彼女のようなエレガントな女性に見合うだけの男性が果たしてこの日本にいるのか?
 他方、年の離れた独身の妹(私には彼女より1歳年上の独身の弟がいる)に対するような気持ちとしては、俗な言い方になるが、「30も過ぎたら、そろそろ結婚したらどうだ」とか、「いい人がいなければ、紹介しようか」とか、「結婚して、子どもを産んで育てるのも人間として大事だぞ」とも言いたくなったりもする。また、納税者の立場からは、結婚しても、ジョディ・フォスターみたいに結婚しなくても、どちらでもいいから、とにかく税金を一杯払ってくれる子どもをたくさん産んで、我々親父の租税負担を少しでも軽くしてほしいと思う。また、彼女のような内面的にも外形的にも美しい女性には、日本民族としてぜひ美しい子孫を残して欲しい。すべて余計なお世話かもしれないが……。
 もっとも、彼女には24歳の頃に強い結婚願望があったようだ。しかし、それは果たせなかった。あくまで推測だが、モデルとして頂点を極めた彼女の人生最大の試練は、ズバリ結婚ではないか?

 ところで、私がこの本を買うきっかけは、今年4月に長男の小学校入学式の自分の写真を見てショックを受けたことにある。11年前、長女が生まれた32歳の私(出産報告の写真葉書に長女と一緒に収まっていた私)は「どう見ても25歳くらいにしか見えない」と友人の奥さんから言われたものだった(多分にお世辞入り?)。しかし、今、髪の毛が乱れ顔色も冴えない疲れきった年相応の親父が、若竹のように伸びゆく長男(結構、もてるのだ)の隣に写っているではないか。最近、同い年の妻のほうが私よりも若く見えたりもする。以前は、逆だったのに。何とかしなければ……。私は焦っていた。6月に入り、仕事も一段落した時、地元の本屋さんで思いがけずこの本を見つけた(もっとも、出版されたのは知っていた)。すぐに買って読んで、できるところは実践した。その後、「お宅の旦那さん、随分若いのね!」とか、「いくつ?」「えっ!」とか、いう感じで、妻は何人かの知り合いに聞かれているらしい。最近は、私のほうが妻よりも若く見えているようである。「よし、うまくいった」私は割と単純(シンプル)なのである。という訳で、周囲の人(うらやましいことに、彼女のサインをもらい、一緒に写真を撮った女子大生スタッフもいた!)には以前からこの本を薦めている。

 話が少し脱線した。モデルとしてはともかく、女優としてはドラマでもCFでも、彼女の魅力を充分に引き出した作品が最近は少ないように私には思える。今後も、彼女が理想的な形で歳月を刻むことができるか、ファンの1人として静かに見守りたい。そして、10年後の「このような本」にもぜひ期待したい。
 本書は、社会人・受験生、女性・男性を問わず、大変役に立つ。例えば、ファッション(第1・2章)、スキンケア(第3章)、メイクアップ、ヘアケアetc.(第4章)は特に女性に、ヘルス・ボディケアetc.(第5章)は疲れた社会人・受験生に、エレガンス(第6章)、ライフスタイル(第7章)、メンタル(第8章)は男性にも示唆に富む。日本人の多くが、この本を読めば、きっと職場や学校は今までより、ずっとエレガントで明るくなるに違いない。
(01/8/6 渡辺一郎)
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