「最近元気のない小学校」を書いた後、朝日新聞(千葉版)に、千葉県の小学校の先生の平均年齢は43歳を超え、人口30万を超える柏市でも正式採用の20代の先生はわずか1人で、非常勤の9人の20代の先生は引っ張り蛸であると書いてあった。また、8/22のNHKの教育討論番組でも、教員の高齢化を問題とする大学の先生がいた。
これに対して、文部省の局長は「荒れる中学」が問題とされた時期には、それらの中学には新採の先生が5人くらいおり、「30代・40代こそ働き盛りである」と反論していた。
教員の高齢化を問題とする大学の先生は小学校を念頭に置き、「30代・40代こそ働き盛りである」と反論した局長は中学校を念頭に置いていた。その議論は噛み合わず、そこで終わってしまった。結論から言うと、両者は、矛盾しない。
基本的には、教員の年齢構成のバランスがとれていることが重要である。
この点、小学校の場合、平均年齢が高すぎる。小学生には、スキン・シップが必要である。40代以上になると子どもと一緒にグラウンドを駆け回るのも辛くなっていく。また、50代の先生だと、子どもやその親との価値観が違いすぎる。例えば、首都圏でも東京(千葉)ディズニーランドに一度も行ったことのない先生も少なくないと思われる。小学生には、子どもとその親の世代を繋ぐ20代・30代の若い先生の力が必要である。
もちろん、40代・50代の先生の経験(指導・人生)は重要である。特に、若い先生や若い親には、熟練した先生の経験が必要である。若い先生は、親に「先生は、自分の子どもを育てたことがないのに…」と反論されることがある。こういうときは、ベテランの先生の出番である。最近『アエラ』(No.36)では、学級崩壊を防いだ21人の先生が紹介されていた。ほとんどが40代・50代の先生である。この経験は伝承されなければならない。ただ20年後には、その先生もごっそりいなくなる。このままでいいのだろうか? 今こそ彼らの経験を受け継ぐ20代・30代の先生が必要である。
中学生の場合も、教員の年齢構成のバランスがとれていることが重要であるが、小学生よりは、先生の年齢が高くてもよい。親も年をとっているので、中学生も慣れている。また、中学生は、学習内容も高度となるので、各科目の熟練した指導が必要である。「30代・40代こそ働き盛りである」という意見は、中学生には妥当する。もちろん、ここでも、子どもとその親の世代を繋ぐ20代の若い先生の力が必要となる。
将来を見据えた教員の養成が望まれる。
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