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私の教育論
いじめについて (2000/6/24)
 

 最近、小5の長女が「いじめ」に遭っていることがわかった。次女が掃除の時に長女が泣いているのを目撃し、妻に報告したからだ。ついこの間まで、長女は「うちのクラスにはいじめも学級崩壊もない」と言っていたので、私も少し驚いた。

 長女は、物事を深く考え込んだり集中すると他が見えなくなるタイプである。例えば、お風呂に入るため2階に着替えを取りに行き、ふと目に留まった本を1時間くらい読み込み、ふと「なぜ私はここにいるのだろう?」と気づき、一階の出発点に戻り、「そうだ! 私はお風呂の着替えを取りに2階に行ったのだ!」と気づくのである。また、図工の時間2〜3時間も何も描けずに、先生に叱られたことがある。訳を聞くと、「テレビで見た絵(平山郁夫画伯の絵)を見たら、絵が描けなくなった!」と言う。何を考えているのかわからない子で、ボーとしているので、賢くは見えない(今まで「Tちゃん、意外に頭がいいんだ!」と何人にも言われているらしい)。行動も遅い。長女は馬鹿にされていたのかもしれない。

 今回、長女は妻に重い口を開いた。2人の同級生が、掃除の時に勝手にルールを作り、長女は教室から恣意的に雑巾や箒をもって来させられ、「遅い!」と言われ、ランニングまでさせられていたらしい(8回あるとのこと)。おまけに学級で「Tちゃんは、掃除をさぼっています!」と報告までされたらしい。
 妻が困った様子で私に相談するので、早速、担任の先生に会うように言い、すぐに相談した。翌日から、担任の先生が目を配り、掃除のルールを変更し、いじめは一応なくなった。

 実は、長女がいじめにあったのは3回目である。
 最初は、幼稚園の時で、なぜかリーダー格のJちゃんに無視されたりするようになった。妻は困っていた。Jちゃんのママと妻は仲がいいので、Jちゃんのママに思い切って相談しようとも思ったらしい。しかし、Jちゃんを夕食(焼肉屋での外食)に誘い、私と妻が「うちのTは、Jちゃんのことを頼りに思っているんだよ」と言ったら、以前の関係に戻り、今もお互いに泊まったりして、仲良くしている(懐柔政策が成功?)。
 2回目は小1の時である。通学路が危ないので、近くの上級生と一緒に登校していた(途中まで妻が見送りした)のだが、長女だけ置いて行かれてしまった。その日は確か、運動会の日で、私は睡眠時間2時間で、長女を置いて行った子たちの家の分まで場所取りをしてあげていた。その帰りに私が目撃したのである。
 運動会の後に、事実だけ、置いていった子の母親1人に言った。その時は「Tちゃん、ごめんね」と言っていたのだが、とんでもない結末が待っていた。いじめた側の母親2人がいじめた子どもと一緒に「いじめられる側にも問題がある!」と逆に文句を言いに来たのだ。妻が「何が原因か?」と聞いても、いじめた子は「それは言えない」とか言う。いつの間にか被害者が加害者になってしまっていた!
 結局、自分の子どもの言うことは信じても、他人の言うことは信じないということである。自分の子どもの言うことを一応、疑ってみる心のゆとりもない。いじめた客観的事実も無視している。価値観とレベルの違う人間と話しても時間の無駄である。妻には、表面的には礼を失しないようつきあっても、心は許さないように言った。その後は、別々に通学し、今日に至っているが、最近は、共通の敵(?)ができたので、以前よりは仲良くしてはいる(分離政策が成功?)。しかし、妻は昔のこと思い出すと心が痛むらしい。
 民族紛争で隣人同士が殺しあったケースが少なくない。そうした場合、強制的にでも分離し、時間の経過を待つのが一番である。仲の悪い者同士や価値観の違う者同士は、仲良くしろと周囲から強制しても、いきなり仲良くなるのは無理である。もちろん教育も大事であるが、感情が収まるまで、切り離すのが一番である。しかし、切り離しができない場合は、接触を必要最小限度にする。なんらかの接触があれば、仲良くなる機会はある。共通の目的や敵があれば、関係は改善される可能性がある。

 話がそれたので、元に戻す。
 いじめの3回目は、今回である。2回目で懲りているので、先生が「本人に直接確認しましょう」という提案を、妻は「それは止めてください」と言い、掃除を見守ってもらうようお願いした。教育的見地からは、いじめた生徒を直接諭すのが筋であろうが、「先生に喋った」とかで、またいじめの原因になりかねない。一般的な形で、いじめはよくない旨、話してもらえば、いじめた生徒も反省するかもしれない。
 ちなみに、いじめた生徒は今年初めて同じクラス(40人)になった。長女は、いじめた子がどんな子かよく知らないらしい。また、妻はPTAの役員を引き受けたが、いじめた子の親もよく知らない。私も今学期だけで2回授業を見ているが、いじめた子も親もイメージすらわからない。40人学級ともなると生徒や親の顔や考えも見えてこない。先生の目もなかなか行き届かない(政府は30人学級にすると12万人の先生と1兆円の税金が要るという。しかし、先生1人に800万円以上かかるという前提がおかしい! また、アメリカは20人学級を15人学級にしようとしている。この問題は後日、検討する)。
 ともあれ、今のところいじめはなくなった。長女には、「お前は大事な娘だから、お父さんもお母さんも守ってやるよ。先生にもちゃんとお願いしたから、今度いじめられた時は、すぐに自分から必ず言うように」と言っておいた。また、「お前も弱い者をいじめるような卑劣な真似はしないように」と諭しておいた。

 いじめには、ケース・バイ・ケースで早期治療が効果的なようである。
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