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私の教育論
40人学級か30人学級か?(3) (2000/8/4)
 

 前回の続きである。
 その後、父母に対する第2回目の説明会(今回は児童も参加)が開かれた。私は、その日の夜講義があるので出席できず、妻と娘(妹弟同伴)が出席した。反対が多く、40人学級3クラスのままで行くのか……?と私は半ば諦めていたが、意外にも結論は違っていた。父母のアンケートでは3組を中心に反対が多かったものの、校長先生は30人学級4クラスで行くと決意し、その旨の説明をされたようだ。クラスの児童を39人反対、1人賛成にまでまとめあげていた3組の先生は憮然としていたようだが、最終的には校長先生の職務命令には従わざるを得なかったようだ。
 校長先生の判断は、正当なものと考える。そもそも40人学級は、学級崩壊の原因になりやすいということは、文部省が研究を委嘱した「学級経営研究会」(代表=吉田茂・国立研究所長)がまとめた最終報告案でも明らかである(2000年4月19日「朝日新聞」)。それによると、全国の公立学校の学級で36人以上のクラスの占める割合が19.8パーセントなのに、学級崩壊を引き起こしている学級の中では36人以上のクラスの占める割合が27.4パーセントを占めているというのである。特に、児童数が40人余から40人となり、クラスの人数が20人余から40人となったクラスに学級崩壊が顕著だという。学級崩壊の芽を未然に摘むという観点からも、クラスの人数は少ないほうが望ましい。
 では、なぜ4月当初に120人の場合、30人学級4クラスは駄目なのか? この点、父母の間にも未だに納得のいかない人が少なくないらしい。実は、「義務標準法」という法律で、「1学級40人」が定められており、その基準に反する場合には国が人件費(正確には半分)を負担しないのだ。ここでも、中央と地方の予算の適正配分の問題が浮上するが、文部省の試算によると「1学級30人」にした場合、約12万人の教員と1兆円の予算増が必要で、「実現性は乏しい」(文部省幹部)とのこと(2000年5月20日「朝日新聞」)。しかし、教員1人あたり年間800万円以上の予算とは!? 定年退職や結婚退職した教員を非常勤講師で雇えば、その半分の給料でもやる人はいくらでもいるのではないか。極論を言えば、指導技術に優れた塾講師を塾から派遣してもらうことも検討されていいのではないか。文部省幹部が「1学級30人」を否定するのは、「実現する意欲に乏しい」と言わざるを得ない。また、「社会性を身につけるには一定規模の学級規模が必要だ」ということが「1学級40人」を支持する側から言われるが、社会性はむしろ学級間や学年間の交流で身につけるべきである。
 ともあれ、5年生は2学期からは4クラスに戻ることになった……。新しい担任には、現在勤務している先生が就き、補充される先生(5年生1人に加え、学校の規模が大きくなるので、学校全体でもう1人補充されることになった)は専科に回ることとなった。また、ティームティーチングを充実させ、父母の授業参観を自由とした。反対派を押し切った校長先生の判断が正しいかどうかは、今後の動向をみないとわからないが、私も賛成した以上、校長先生をはじめ先生方にできるかぎりの協力を惜しまないつもりでいる(一部の読者に心配された無言電話も、第2回目の説明会の日が告知された日以降はかかって来なくなったので、ご心配なく)。

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