【最判平10.11.12=平10重判6=判例六法・行政事件訴訟法242条の2第7,8番】
【論点】
市がその施行する土地区画整理事業において土地区画整理法98条2項、104条11項に基づいて取得した保留地を随時契約の方法により売却する行為は、住民訴訟の対象となる「財産の処分」及び「契約の締結」に当たるか?(肯定)
【判旨】
住民訴訟は、地方自治法二四二条一項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実を対象とするものでなければならない(同法二四二条の二第一項本文)ところ、普通地方公共団体の所有に属する不動産は、公有財産として同法における「財産」に当たるものと規定されている(同法二三七条一項、二三八条一項一号)から、普通地方公共団体の所有に属する不動産の処分は、当該不動産が当該普通地方公共団体の住民の負担に係る公租公課等によって形成されたものであると否とを問わず、同法二四二条一項所定の「財産の処分」として住民訴訟の対象になるものと解される。また、右の不動産について売買契約を締結する行為は、同項所定の「契約の締結」に当たり、住民訴訟の対象になるものと解される。
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