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今年狙われる重要判例
民法2 (4/9)
(最判平11.3.11=平11重判・民法1=判例六法・民法142条1番)

 「毎月X日」(事例では25日と3日)と定められた返済日が休日に当たる場合の、返済日の解釈などが問題となった。

[参考]*便宜上、条文を一部省略
民法142条
   期間の末日が大祭日、日曜日其他の休日に当たるときは其日に取引を為さざる慣習ある場合に限り期間は其翌日を以て満了す。
貸金業規制法17条1項
   貸金業者は、貸付けに係る契約を締結したときは、遅滞なく、総理府令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項についてその契約の内容を明らかにする書面をその相手方に交付しなければならない。
 五 返済の方式
 六 返済期間及び返済回数
同43条1項
   貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の利息…の契約に基づき、債務者が利息として任意に支払つた金銭の額が…(利息制限)法第一条第一項に定める利息の制限額を超える場合において、その支払が次の各号に該当するときは、当該超過部分の支払は、同項の規定にかかわらず、有効な利息の債務の弁済とみなす。
 一 …第十七条第一項に規定する書面を交付している場合…におけるその交付をしている者に対する貸付けの契約に基づく支払
利息制限法1条1項
 金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が左の利率により計算した金額をこえるときは、その超過部分につき無効とする。
【論点】
 返済日の解釈(民法142条参照)

【判旨】
「毎月一回ずつの分割払によって元利金を返済する約定の消費貸借契約において、返済期日を単に「毎月X日」と定めただけで、その日が日曜日その他の一般の休日に当たる場合の取扱いが明定されなかった場合には、その地方においては別異の慣習があるなどの特段の事情がない限り、契約当事者間にX日が右休日であるときはその翌営業日を返済期日とする旨の黙示の合意があったことが推認されるものというべきである。
 現代社会においてはそれが一般的な取引の慣習になっていると考えられるからである(民法一四二条参照)。
 そして、右黙示の合意があったと認められる場合においては、(筆者注:貸金業規制法)一七条書面によって明らかにすべき「各回の返済期日」としては、明示の約定によって定められた「毎月X日」という日が記載されていれば足りると解するのが相当である。
 けだし、契約当事者間に右黙示の合意がある場合には、一七条書面にX日が右休日に当たる場合の取扱いについて記載されていなくても、契約の内容が不明確であることにより債務者や保証人が不利益を被るとはいえず、法が一七条書面に「各回の返済期日」を記載することを要求した趣旨に反しないからである。」

【判例のポイント】
 毎月一回ずつの分割払によって元利金を返済する約定の消費貸借契約において、返済期日を単に「毎月X日」と定めただけで、その日が日曜日その他の一般の休日に当たる場合の取扱いが明定されなかった場合には、その地方においては別異の慣習があるなどの特段の事情がない限り、契約当事者間にX日が右休日であるときはその「翌営業日」を返済期日とする旨の「黙示の合意」があったことが推認される。

【ワンポイントレッスン】
 利息制限法の制限を超過しているため、本来は無効であるはずの超過利息部分が、貸金業規制法43条の「みなし弁済」規定により有効となるためには、同17条の定める契約書面を交付している必要がある。
 そこで、返済日が「毎月X日」とのみ定められ、その日が休日に当たる場合の扱いについて明示されていない契約書面がこの要件を満たすか問題となったが、判例は肯定している。

【試験対策上の注意点】
 択一対策として判例の結論を押さえておけば足りる。

(沖田)

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