【判旨】
「毎月一回ずつの分割払によって元利金を返済する約定の消費貸借契約において、返済期日を単に「毎月X日」と定めただけで、その日が日曜日その他の一般の休日に当たる場合の取扱いが明定されなかった場合には、その地方においては別異の慣習があるなどの特段の事情がない限り、契約当事者間にX日が右休日であるときはその翌営業日を返済期日とする旨の黙示の合意があったことが推認されるものというべきである。
現代社会においてはそれが一般的な取引の慣習になっていると考えられるからである(民法一四二条参照)。
そして、右黙示の合意があったと認められる場合においては、(筆者注:貸金業規制法)一七条書面によって明らかにすべき「各回の返済期日」としては、明示の約定によって定められた「毎月X日」という日が記載されていれば足りると解するのが相当である。
けだし、契約当事者間に右黙示の合意がある場合には、一七条書面にX日が右休日に当たる場合の取扱いについて記載されていなくても、契約の内容が不明確であることにより債務者や保証人が不利益を被るとはいえず、法が一七条書面に「各回の返済期日」を記載することを要求した趣旨に反しないからである。」
【判例のポイント】
毎月一回ずつの分割払によって元利金を返済する約定の消費貸借契約において、返済期日を単に「毎月X日」と定めただけで、その日が日曜日その他の一般の休日に当たる場合の取扱いが明定されなかった場合には、その地方においては別異の慣習があるなどの特段の事情がない限り、契約当事者間にX日が右休日であるときはその「翌営業日」を返済期日とする旨の「黙示の合意」があったことが推認される。
【ワンポイントレッスン】
利息制限法の制限を超過しているため、本来は無効であるはずの超過利息部分が、貸金業規制法43条の「みなし弁済」規定により有効となるためには、同17条の定める契約書面を交付している必要がある。
そこで、返済日が「毎月X日」とのみ定められ、その日が休日に当たる場合の扱いについて明示されていない契約書面がこの要件を満たすか問題となったが、判例は肯定している。
【試験対策上の注意点】
択一対策として判例の結論を押さえておけば足りる。