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今年狙われる重要判例
刑法2 (5/4)
(最決平11.4.8=平11重判・刑法5=判例六法なし)

 条例の「罰金」を定めた部分が失効した場合に、「拘留」を定めた部分の効力はどうなるか、問題となった。

[参考]
刑法15条
   罰金は、一万円以上とする。ただし、これを減軽する場合においては、一万円未満に下げることができる。(平成三法三一本条改正)
同16条
 拘留は、一日以上三十日未満とし、拘留場に拘置する。
【論点】
 条例の「罰金」を定めた部分の失効と「拘留」を定めた部分の効力との関係

【判旨】
「…(京都市風紀取締)条例三条は、罰則を五〇〇〇円以下の罰金又は拘留と定めているところ、そのうち、罰金を定めた部分については、平成三年法律第三一号による改正後の刑法一五条、右法律第三一号附則二項前段により、同法施行の日から一年を経過した時点で効力を失うに至ったが、拘留を定めた部分は、なお罰則としての効力を有しているものと解すべきであるから、これと同旨の原判決の判断は、正当である。」

【判例のポイント】
 当該条例(罰則:5000円以下の罰金又は拘留)のうち、「罰金」を定めた部分については法改正により効力を失うに至ったが、「拘留」を定めた部分は、なお罰則としての効力を有している。

【ワンポイントレッスン】
 法改正により罰金の最低額が引き上げられたにもかかわらず、京都市が条例改正をサボっていたために、もめたのが本件である。
 結論として、条例の「罰金」の部分は失効、「拘留」の部分は有効、とされた。

【試験対策上の注意点】
 余裕があれば択一対策として押さえておこう。重要度はあまり高くない。

(沖田)

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