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今年狙われる重要判例
民法10 (6/5)
(最判平11.2.23=平11重判・民法10=判例六法・民法678条2番)

 任意の脱退を許さない旨の組合契約における約定の有効性が争われた。

[参考]
民法678条
  1項 組合契約を以て組合の存続期間を定めざりしとき又は或組合員の終身間組合の存続すべきことを定めたるときは各組合員は何時にても脱退を為すことを得。但已むことを得ざる事由ある場合を除く外組合の為め不利なる時期に於て之を為すことを得ず。
  2項 組合の存続期間を定めたるときと雖も各組合員は已むことを得ざる事由あるときは脱退を為すことを得。
【論点】
 任意の脱退を許さない旨の組合契約における約定の有効性(否定)

【判旨】
民法六七八条は、組合員は、やむを得ない事由がある場合には、組合の存続期間の定めの有無にかかわらず、常に組合から任意に脱退することができる旨を規定しているものと解されるところ、同条のうち右の旨を規定する部分は、強行法規であり、これに反する組合契約における約定は効力を有しないものと解するのが相当である。
 けだし、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約は、組合員の自由を著しく制限するものであり、公の秩序に反するものというべきだからである。」

【判例のポイント】
 組合員はやむを得ない事由がある場合には、組合の存続期間の定めの有無にかかわらず、常に組合から任意に脱退することができる旨の民法678条の規定は、「強行法規」であり、これに反する組合契約における約定は効力を有しない。。

【ワンポイントレッスン】
 組合の脱退事由は、択一対策として押さえておこう。

1.任意脱退
 [存続期間の定めなし or ある組合員の終身間存続すると定めた]
  原則 ○
  例外 ×(組合に不利な時期)
  例外の例外 ○(やむを得ない事由)
 [存続期間の定めあり]
  原則 ×
  例外 ○(やむを得ない事由)

2.非・任意脱退
(1) 死亡 *死亡により脱退=相続されない
(2) 破産
(3) 後見開始の審判を受けた

【試験対策上の注意点】
 「組合」はマイナーな分野だが、択一対策として念のため押さえておこう。

(沖田)

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