【判旨】
「父母の婚姻中は、父母が協働して親権を行い、親権者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うものであり(民法818条3項、820条)、婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合であっても、子と同居していない親が子と面接交渉することは、子の監護の一内容であるということができる。
そして、別居状態にある父母の間で右面接交渉につき協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、民法766条を類推適用し、家事審判法9条1項乙類4号により、右面接交渉について相当な処分を命ずることができると解するのが相当である。」
【判例のポイント】
婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合であっても、子と同居していない親が子と面接交渉することは、「子の監護」の一内容であり、右面接交渉につき協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、「民法766条を類推適用」し、家事審判法9条1項乙類4号により、右面接交渉について相当な処分を命ずることができる。
【ワンポイントレッスン】
まず、「離婚」の場合は、子の監護につき家庭裁判所が相当な処分をできることは、民法766条に明文規定がある。
しかし、本件では、父母が別居し、事実上婚姻関係が破綻しているものの、離婚しているわけではないため、その根拠が問題となった。
その根拠規定をめぐり従来争いがあったが、最高裁は「民法766条類推」肯定説をとり、実務上はこれで一件落着となった。
この問題に関しては、新たな立法によって解決するのがスジであり、平成8年の民法改正要綱で改正提案がなされている。
【試験対策上の注意点】
択一対策として、結論を押さえておけば足りる。重要度はあまり高くない。