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今年狙われる重要判例
行政法2 (6/7)
最判平12.3.17=H12重判・行政法2

【論点】
 墓地から300メートルに満たない地域に敷地がある住宅等に居住する者が大阪府知事のした墓地の経営許可の取消しを求める原告適格を有するか。

[参考]
行政事件訴訟法9条(原告適格)
   処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。

【判旨】
 墓地、埋葬等に関する法律(以下「法」という。)一〇条一項は、墓地、納骨堂又は火葬場(以下「墓地等」という。)を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない旨規定するのみで、右許可の要件について特に規定していない。これは、墓地等の経営が、高度の公益性を有するとともに、国民の風俗習慣、宗教活動、各地方の地理的条件等に依存する面を有し、一律的な基準による規制になじみ難いことにかんがみ、墓地等の経営に関する許否の判断を都道府県知事の広範な裁量にゆだねる趣旨に出たものであって、法は、墓地等の管理及び埋葬等が国民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的とする法の趣旨に従い、都道府県知事が、公益的見地から、墓地等の経営の許可に関する許否の判断を行うことを予定しているものと解される。法一〇条一項自体が当該墓地等の周辺に居住する者個々人の個別的利益をも保護することを目的としているものとは解し難い。また、大阪府墓地等の経営の許可等に関する条例(昭和六〇年大阪府条例第三号)七条一号は、墓地及び火葬場の設置場所の基準として、「住宅、学校、病院、事務所、店舗その他これらに類する施設の敷地から三百メートル以上離れていること。ただし、知事が公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるときは、この限りでない。」と規定している。しかし、同号は、その周辺に墓地及び火葬場を設置することが制限されるべき施設を住宅、事務所、店舗を含めて広く規定しており、その制限の解除は専ら公益的見地から行われるものとされていることにかんがみれば、同号がある特定の施設に着目して当該施設の設置者の個別的利益を特に保護しようとする趣旨を含むものとは解し難い。したがって、墓地から三〇〇メートルに満たない地域に敷地がある住宅等に居住する者が法一〇条一項に基づいて大阪府知事のした墓地の経営許可の取消しを求める原告適格を有するものということはできない。

【判例のポイント】
 最高裁は、墓地、埋葬等に関する法律と大阪府墓地等の経営の許可等に関する条例は、もっぱら公益のみを保護しており、個人的利益を保護の対象としていないから、墓地から300メートルに満たない地域に敷地がある住宅等に居住する者は大阪府知事のした墓地の経営許可の取消しを求める原告適格を有しないとした。

【ワンポイントレッスン】
 最高裁は、法律がもっぱら公益のみを保護している場合は原告適格を認めず、もっぱら個人的利益を保護の対象としている場合と公益に加えて個人的利益をも保護している場合には原告適格を肯定している。本件の法律・条例は、もっぱら公益のみを保護している場合に当たるから、原告適格は認められないとした。

【試験対策上の注意点】
 原告適格は1次のみならず2次でも出題される可能性が非常に高い。1次対策としては判例の理由と結論を、2次対策としては法律上保護された利益説(判例・通説)を覚えておく必要がある。

(渡辺)

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