M君の官庁訪問日記
8時10分。人事院に到着。10時20分に運輸省で予約が入っているが、こんな朝早くに他に行くところもなく、昨日、一昨日と同じようにパンフやノートを見ながら面接対策を練ろうと結局人事院の1階のロビーに来たのだ。
9時。なんとなく人事院の人事課に行き、「お約束通り15時に伺います」とだけ挨拶。そして、また1階のロビーに戻って面接対策。
9時45分。人事院を出て運輸省に向かう。
9時55分。運輸省に到着。待合室で待機。しかし、待っても待っても自分の番が来ない。予約の10時20分はとっくに過ぎている。「何時の予約ですか?」「あ、まだなんですか」「待ち時間、長いですよねえ」といった会話から始まり、周りの人ともいろいろ話す。人事院や会計検査院での待合室だと静寂すぎてなかなか話し掛けにくい雰囲気だが、運輸省はそこらじゅうに受験生があふれていて話し掛けやすい。それに、官庁訪問3日目ということもあり、自分に心のゆとりみたいなものができてきたこともある。こうして、いろいろと周りの人と話し、他省庁の情報を交換し合う。もっとも、僕は運輸省の他には人事院と会計検査院というマイナー省庁しか回っていなかったので、他の人にしてみればあまり役には立たなかったと思うが。
このように運輸省の待合室には多くの受験生が待機しているが、ときどきその中に職員の方が混ざってきてあれこれ話しかけてくる。僕もそのチャンスを見逃さず、いろいろと聞いてみる。そうこうしているうちに意外と時間は潰れるものだ。
13時55分。ようやく面接(人事課)が始まる。運輸省では3人目。ここでは、司法試験への未練、他省庁の志望理由、運輸省の業務で関心のある分野などについて聞かれる。そして、最後に「次回は金曜日の14時50分でいいですか?」と聞かれる。前回の訪問(月曜日)では自分で好きな時間を選べたのに、今回はあっちから指定してきたのだ。「そろそろ自由が利かなくなってくるのかな」と思いながら、「はい、その時間で結構です」と答える。14時10分終了。
待合室に戻る。本来なら原課の面接が次にあるので、それまで待機しなければならない。しかし、人事院と15時に予約している。そこで、待合室の受付にいる職員の方に人事院で15時に予約を入れていることを告げる。すると、「あちらが終わったら戻って来て下さい。そしてあちらが終わり次第、一応この待合室まで電話を下さい」とのこと。「まだ自由に泳がせてくれるんだな」と思い、とりあえず運輸省を後にする。
14時25分。人事院に到着。
15時。人事院7人目の面接。ここでは、「きみは、人事院・会計検査院・運輸省・農林水産省を志望しているようだけど、この毛色のちがう4省庁はどういう基準で選んだの?」と、予想していた質問が飛んでくる。それ以外に「公務員人気には陰りが出てきたけど、周りの人は公務員をどう思っていると思う?」「あなたはどんな公務員になりたい? イメージみたいなものはありますか?」などなど、予想して
いなかった質問も出てくる。予想していなかった質問に対しても素直な自分の気持ちを述べて面接を終える。15時45分終了。
その部屋でしばらく待っている。どうなったのか不安で不安でしかたがない。しかし、そんな中でもノートに面接の受け答えをメモすることは忘れない。記憶が鮮明なうちに書こうと、どんな問答があったのか回想する。しばらくしてノックと同時に人事課の職員の方が入ってきて「今週はもうお会いできる人がいないので、月曜日の朝9時半にいらしていただけますか?」と聞かれる。官庁訪問2週目の最初の月曜日の朝一番に呼ばれるというのは脈がある証拠だと聞いていた。「はい、9時半に伺います」と平静を装って答える。しかし喜びを隠しきれない。内心は「やったー!」と叫んでいる。
人事院を後にし、運輸省に戻ろうとする。しかし、「せっかく昨日会計検査院で今日来ないかと言われたのに……。もし、会計検査院でこれから1人だけでも面接できるなら……」と思い、運輸省前を通過し、会計検査院まで行く。
16時15分。会計検査院の人事課に行き、「今日、これから面接というのは無理でしょうか?」と聞く。さすがに無理との答え。そして、会計検査院を出て、運輸省に「これから伺います」と電話を入れる。
16時30分。運輸省に戻る。
17時頃。運輸省4人目の面接。ここでは、航空機事故の損害賠償制度の変遷やスカイマークエアラインズのことを聞く。それと便宜置籍船の安全性を確保するために日本としてどのように対処すべきかについても聞く。この便宜置籍船についてはちょうど国
l の試験科目である国際法で勉強したことだったので、話も盛り上がる。18時10分終了。
その後帰宅。
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