官庁訪問日記

M君の官庁訪問日記

6月24日(木) 官庁訪問11日目午前
 8時20分。霞ヶ関ビル内の喫茶店に入る。いつものように人事院の1階ロビーで時間を潰してもよかったのだが、9時半予約の会計検査院と人事院とは霞ヶ関の隅っこ同士で遠いので、会計検査院のそばをウロウロして見つけた霞ヶ関ビルでしばらく落ちつこうかと思ったのである。パンフやノートを見ながら、いつものように志望動機など聞かれそうなことを一応チェックする。9時05分に店を出る。
 9時10分。会計検査院に到着。1階の待合室で、再び面接対策をする。
 9時30分。人事課へ行き、受付を済ませる。
 9時40分。別室へ案内される。
 10時25分。ノックの音とともに面接官が入ってくる。会計検査院8人目の面接。あれ!? この面接官は先週木曜日(17日)の3人目の面接官と同じではないか! 「友達は多い方、少ない方?」に始まりいろんなことを聞かれて大変な目に遭った、あの面接官である。「この間はあまり時間がなかったから、もう一度面接することにしました」とのこと。あれだけ聞いておきながら、あまり時間がなかったって!? 今回は一体どうなるんだろう……。不安がよぎる。案の定、質問の嵐。「司法試験は今後どうするの?」「司法試験は公務員試験よりも難しい?」「公務員になることに対して、両親や兄弟は何か言ってる?」といった質問から「お酒は飲むの?」「飲むとどうなる?」「ご両親と飲むことはあるの?」「運動は何かする?」「旅行とかには行くの?」「公務員試験の友人はどうやって作ったの?」という質問まで。自分という人間が試されているのだ。「試験のできはどうだった?」とも聞かれる。これまでも何度となく聞かれたことだ。模試では時間不足に陥っていた教養が本試験では時間が余るという事態だったのだ。もっとも、時間が余った理由は、英語が難しかったためあまり考えずにさっさと肢4にマークしたからだったのだが……。試験のできに関する質問については「できました!」と答えるのがいいと言われていたので、僕もこれに倣ったのだが、ただ「できました!」と言っただけでは説得力がない。そこで、この種の質問に対しては、細かい説明は省きながらも「模試では時間が余らなかったにもかかわらず、本試験では時間が余りました。おかげで、専門は安心して受験できました」と具体的に試験のできについて語るようにしていたのだ。何度も何度もオウムのようにこうして答えているうちに、英語が難しかったこともすっかり忘れ、本当にできたような気がしてくるものだ。そして、今回は、この質問に対して、「もし試験に落ちていたら、運が悪かったとしか言いようがない」とまで答えるようになっていたのだ。思い込みというのは実に恐ろしい。続いて、「万が一国 l がダメだったら、来年はどうするの?」とも聞かれる。「考えてもみませんでした。ただ、既卒なので、内定がもらえるのかは非常に不安でしたが」と答える。これに続けて、国 ll 、神奈川県庁、裁判所事務官 ll 種を併願していることを告げる。もっとも、他に衆議院事務局 l 種、参議院事務局 l 種、参議院法制局も併願しているのだが、そこまで言うこともないだろうと思い、併願は3種類だけ告げたのである。その上で、国 l に合格して政策の企画・立案という仕事をしてみたいという気持ちが強いが、同時に早く社会貢献をしたいという気持ちもあるから他の試験種も併願したということを伝える。この質問は想定外だったのでその場で考えたことではあったが、我ながらうまく面接官に伝えられたと感心する。もしも、「まぁ、とりあえず受けてみるか」といういい加減な気持ちで併願していたのだとしたら、このような言葉は出てこなかっただろう。財政状況の厳しい神奈川県庁に関してはちょっと別としても、国 ll と裁判所事務官 ll 種については、万が一のときはそこで働くことになってもいいと思えたのだ。あがり性の自分にとっては、とっさのときに気の利いた一言がなかなか言えない。予想外の質問が出てきたときにこそ、その人の本心が表れてくる。少なくとも僕にとってはそうだ。このように実感する。その他には「他省庁はどうなってるの?」「携帯電話はみんな持っているの?」などと聞かれる。10時45分終了。とても20分足らずとは思えないほど濃い面接だった。そして、13時30分に再び来るように言われる。何とかまた首がつながったようだ。
 12時。郵政省を回っている友人と郵政省の食堂で食事をする。
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