M君の官庁訪問日記
12時30分。会計検査院に到着。昨日宣告されたところによれば、今日は最終面接の一歩手前くらいとのこと。ここでドジっては元も子もない。いつもと同じく1階のロビーでパンフとノートを見ながらこれまでの面接でのやりとりや志望動機を確認する。
13時25分。人事課へ行き、受付を済ませて待合室へ行く。
13時45分。別室へ案内される。
14時25分。ノックの音。会計検査院12人目の面接官が入って来る。見覚えのある人だ。「霞ヶ関ツアーで業務説明されていませんでしたか?」「あ、きみ、霞ヶ関ツアーでここを回ったの?」と会話が進む。業務説明会や霞ヶ関ツアーに参加するということはこういうものなんだなあと実感する。どういうことかと言うと、霞ヶ関ツアーに参加したからその省庁でのポイントが直接にアップするというわけではないが、それをネタに会話が進んで行くということである。説明会に参加することが会話のキッカケになるということである。事前の業務説明会などに参加することにより、官庁訪問で自分をアピールする際の材料を仕入れるとともに会話のネタを入手できるわけだから、何もせずにいきなり官庁訪問するよりも遥かに自然な会話ができる。官庁訪問では自然な会話をするというのがとかく難しい。今回のように偶然にも業務説明の際に担当していた人に面接があたれば、自然と会話が始まる。そういうこともあるのだ。最初に、「タバコ吸ってもいい? きみも吸わない?」と聞かれる。僕はこれまで1本も吸ったことはなかったので「いえ、僕は吸わないんです」と答える。すると、すかさず「じゃあ、減点だな(笑)」と言われる。さて、ここで聞かれたこととして試験のできがあるが、それについてはこれまでと同じように答える。続いて、卒論についても聞かれる。検察審査会というテーマで卒論を書いたことから、「検察審査会ってなに?」と聞かれる。面接官の話ぶりからすると検察審査会のことを知っているようだが、あえて質問しているようだ。自分の説明能力が試されているようだ。次に、一橋大学の小平分校の跡地問題について、どういう活用方法があるかを聞かれる。そんなことを聞かれても考えたこともない。「たくさんの教室もあることだし、地域住民の生涯学習の場として活用すればいいのではないでしょうか」と答える。突然聞かれてもこんなような答えしか出てこないのが自分の能力というものである。これに対しては「外語大の敷地が手狭なんだよね。だから、小平に移転させれば、敷地の『有効』利用という観点からもいいんじゃないの?」という返事が返ってくる。「(検査業務の視点のうちの一つである)有効性の視点ですね(笑)」と相づちを打つ。その次に、「税金の使途の不明瞭さって具体的にはどういうことを連想する?」と聞かれる。これは、面接カードに、公務員に対する信頼が揺らいでいる原因の一つに税金の使途の不明瞭さがあるというようなことを書いたことに対する質問である。税金の使途の不明瞭さとは具体的に言うとどういうことなのか、どういうことを想定してこのようなことを面接カードに書いたのかを聞いてきたのである。「道路工事などの公共事業を念頭に書いてみました」と答える。すると、「道路もある部門で掘り返して舗装したかと思ったら、また別の部門で別の理由で掘り返して舗装して……と無駄が多いんだよね。どうしてこんなことが起きるんだと思う?」と聞き返される。ここまで来ると、もう想定問答集は役に立たない。素の自分で勝負するしかない。「部署間や役所間の連携がうまくいってないのが原因の一つなのではないでしょうか」と答える。すると、「それも一つの原因だけどまだあるんだよね」と。「地下にはどんなものが埋まっていると思う?」「下水道管や電話のケーブル……」「そういうたくさんのパイプの耐用年数がそれぞれ違うために掘り返しを繰り返さなければならないという理由もあるんだよ」とのこと。こんな感じで面接は終始和やかに進む。14時55分終了。
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