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Y君の官庁訪問日記

6月12日(月) 官庁訪問1日目
 8時過ぎ、第1志望であるA省に到着。一番行きたいところに月曜の朝に行く、という鉄則そのままだ。きっと他にもたくさんの人が来てるんだろうなあ、と思っていたが、私が一番乗りで拍子抜け。どうすればよいのかわからなかったので人事に行くが、「担当者が来ていない」といわれ、ロビーで待つことにする。9時近くに案内板が出され、再び人事に。学生は私を含めてもまだ3人。話を聞くと、他省庁では8時に来ても30人近く集まっているところもあったようだ。
 9:30にようやく待合室に移動し、身上書に記入。志望動機を書く欄がなく、目に付いたのは「説明を受けたい仕事、事柄」という欄くらい。業務説明という建前があるからなのか、これにも拍子抜けしたが、事前に準備していたことをそのまま記入する。私は受付番号が1番だったので、身上書を書き終えるとすぐに人事に呼ばれ、まずは人事の係長(入省8年目)と面接。「業務説明だからねぇ、志望動機は聞かないよ」と始まり、身上書に記入した「説明を受けたい仕事」について、なぜその仕事に興味があるのかについて質問された……が、極度の緊張でしどろもどろになってしまい、想定問答集に書いたことすら上手く話せない始末。結局、5分後に「まぁ、いいや。じゃあ、ちょっと国際関係の仕事をしている人に連絡してみるから」と途中で話を遮られてしまう。紹介をしてもらった原課に向かう間、さっきの人事との面接がうまくいかなかったことを後悔するあまり、原課でなにを聞こうか考えないまま部屋に入ってしまった。
 原課では入省8年目の係長に業務説明を受けた。国際交渉について質問してみるものの、また緊張してしまい、相手の話にうなずくばかり。さらに、相手の説明が終わった後に質問をしないと、と思い質問してみるものの、見当はずれの質問をしてしまう。積極的に話を進められず、お互いの話題がかみ合わないまま50分で業務説明終了。業務説明に終始して個人的事項を聞かれなかったが、この雰囲気だとA省はキツイかも……とかなり落ち込む。
 待合室に戻り1時間ほど待つ。待っている間は、「官庁訪問ノート」に聞いた話をまとめる。あとで人事に「どんな話を聞いた?」と聞かれるだろうから、ノートにまとめて、その話を聞いて自分はどう思ったのかを話せるようにするのがベストなのだ。しかし、朝からの失敗続きで動揺するあまり、話をなかなか思い出せない。そうしている間に人事に呼び出され、12:00頃人事の係長(7年目)と面接。身上書を見ながら、自己PRに書いた志望動機について、その理由や意見を求められる。面接も3人目になり少し緊張しなくなったため、落着いて自分の考えを話せた。「君はよく勉強しているみたいだねぇ」と言われ、やっと波にのれたのかなと一安心。さらに、「語学は得意?」「どうして公務員になろうと思ったの?」「志望省庁のつながりは?」など面接っぽいことを軽く聞かれた。15分ほどの短い時間だったが、自分を飾らずに落着いて話すことが大事なんだと悟る。もっと早く気付いていれば……。次回の予約を14日水曜日の10時にしてA省を後にする。
 第2志望のBC省に向かうが、13時前だったのでBC省地下の食堂で昼食をとる。その後、BC省の業務説明会場へ。部屋は学生でいっぱい、座るところもないくらいだった。さすがに午後ともなるとどの省庁も人がたまってくるようだ。B省の身上書はきわめて簡単なもので、受験番号や名前を書くだけだった。すぐに記入したのでパンフレットを読みながら順番を待つ。周りでは学生同士で話をしていたが、私はA省での失敗をBC省で取り戻すことに必死で、志望動機や質問事項を繰り返しチェックする。15:30に自分の名前が呼ばれ、10個あるブースのうち1つに案内される。C省の方(年次は不明)から業務説明を受ける。業務説明が簡単に済んだので、日頃疑問に思っていることを質問してみる。興味のある分野だったので積極的に話を進めることができ、自分の関心事項をアピールできたように思う。和やかなムードで業務説明は16時頃終了。さすがに官庁訪問にも慣れてきた。次回の予約を14日水曜日の15:30にいれた。A省はそれまでには終わるだろうとの判断だ。
 まだ時間が早かったので他省庁にもいくことはできたのだが、1日2省庁まわれば十分かと思い、スーツのままなんとアルバイトに向かう。こうして、失敗をしながらもなんとか官庁訪問1日目を終えたのである。
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