Y君の官庁訪問日記
官庁訪問2週目に突入。今日は9:30にBC省の予約があり、終わり次第A省にいくことになっている。A省は金曜日に情況が好転したものの、まだ安心はできない。まずはBC省で全力を尽すしかない。この時はまだ、今日がどういう日になるのかなどわかっていなかったのだ……。
9:20、BC省到着。いつもに比べてやたら人が多い。BC省に朝来るのは初めてだったので、午前中は人が多いのか位に思っていたが、最終的にはいつもの待合室では収まりきれない人数の人が集まり、大きな会議室が待合室に当てられた。やはりいつもと様子が違うようなので、周りの人2〜3人とこれからどういうことが起きるのかを話し合う。その話でわかったことは、先週の金曜日から日曜日にかけて、BC省の人事から月曜日の午前中に来てくださいとの電話がかかってきた人がいるということである。月曜日の午後や火曜日に予約を入れた人でも、月曜日の午前中に必ず来てください、と選択を迫ったそうなのだ。もちろん、私にはそんな連絡は来ていない……。また、この週末の電話連絡は例年BC省が使っている手段で、そのため2週目の月曜日は長時間待つことになり、長時間待っていられるかでさらに選択を迫るそうだ。この話を聞いた時点で、BC省における望みはほとんど断ち切られた。一縷の望みは持つものの、あまり期待はできない。
13:20、4時間待ってようやく私の名前が呼ばれて、いつものブースに案内される。座ったとたんに、「では、今日で業務説明は終わりとなります」と切り出される。ある程度予想はしていたものの、話も聞いていない初っ端にいうことないのになぁと思う。そう、これが「切られた」ということだ。その後、「では質問したいことがあったらどうぞ」といかにもやる気のない表情で言われる。そんな態度をされて私もどうでもよくなってしまったのだが、一応2、3点質問して、面接は15分ほどで簡単に終了。これで私とBC省の関係は終わった。つまり、私に残された選択肢は、A省とD省の二者択一になった。先週の火曜日にF省を回っていれば、もしかしたら3つ残っていたかもしれないのに……と思うと悔やんでも悔やみきれない。あまりにも手広く回るのもどうかと思うが、自分から可能性を狭めてはやはりいけない。BC省が終わってしまったことで、精神的にさらに辛くなった。
13:45、A省に到着。昼食をとっていなかったので、食堂に向かう。が、初めての「切られる」という経験の直後だったため、食が進まない。終わったことを悔やんでもしかたがないのはわかっているし、こんな気持ちでA省に臨んではそれこそ共倒れになってしまう。しかし、どうしても気持ちが晴れない。あれこれ考えて気持ちの整理をつけてから、いよいよ人事へ。待合室ではいつもの渡辺ゼミの友人と出会う。BC省で切られたことを話す。自分一人でくよくよするよりも、誰かに話を聞いてもらったほうが意外にすっきりするものだ。16:30に人事に呼ばれ、「今日も経験ある人に会ってもらいます」とのこと。紹介された部屋は金曜日と同じ会議室。ということは、また人事の課長補佐なのだろうと予想される。予想的中。前回とは違う方だったが、肩書きは人事の課長補佐。最初に志望動機を聞かれるが、今までA省に限らず、他省庁でも何度となく答えていたことだったので、すらすらと答える。その後は、相手の経歴に沿ってまったくの業務説明。相手がよくしゃべる人だったせいか、私に質問することはその後なかった。説明中はいつも通り、適宜こちらからも質問する。A省の仕事の中でも私にはそれほど興味がなかった分野の説明が多かったので、事前に質問事項を作っていなかったが、話を聞いているうちに疑問に思うことは出てくるもので、自然と質問するような感じだ。話好きの課長補佐との面接は1時間で終了。再び、待合室に。
待合室に戻ると、朝、BC省で話していた人に会った。彼は先週の金曜日に連絡がきたといっていたので、その後のBC省の経過をたずねる。すると、ブースでの業務説明の後、予約を入れたということだった。やはり、週末に連絡が来た人は残されたのだ。今となっては私にとっても他人事になってしまったのだが。
20:30に再び人事に呼ばれる。例の月曜朝一の係長と3回目の面接。今日聞いた話の感想を求められたので、自分の考えを織り交ぜながら、A行政の問題点について話す。最後に、「行政の細かい知識まで期待しているわけではないので、大切なことは業務説明で聞いた話を自分の言葉で語れるようになることだね」といわれる。なるほど。聞いた話をそのまま繰り返すだけではだめで、どれだけ自分に吸収できるかが重要なのだ。官庁訪問ノートに自分の言葉で業務説明をまとめていたのが役立てばいいなぁ、と思う。20日火曜日の9:30に予約をして、20:45に家路につく。今日はBC省で切られたり、A省で現状維持だったりといろいろなことがあった。明日からの二者択一の苦しい日々が続くことを思うと気分は重いが、ベストを尽せば必ず結果は出ると信じてがんばるしかないだろう。
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