Y君の官庁訪問日記
今日は9:30予約のA省とD省を回る予定だ。BC省に切られたから、私にはもはやその選択肢しかないのだから。A省での状況は確かに好転しているのだが、それでもA省一本に絞るのは危険だ。D省でもそんなに悪い評価を受けているとは思えないし、D省には先週の木曜日以来行っていないので、忘れられないためにも今日は行っておかないと。先週、F省を回らずに始めてしまったという失敗を反省し、自分に残された道をうまく渡ろうと思う。
9:20にA省到着。10:00に人事に呼ばれる。簡単に原課の紹介のみだった。2回連続で人事の課長補佐だったが、今回は原課に戻った。そろそろ評価が固まったのだろうか。相手は原課の総括課長補佐(11年目)。内容は主に業務説明だった。私の興味のある仕事であり、事前によく研究していたつもりだったが、それでも知らないことが多く、好奇心を刺激された。官庁訪問開始当初は知らないことがあると焦るばかりだったが、今では落着いて話を聞けて、疑問に思ったことはその場で質問しようという積極的な姿勢をとれるようになった。相手はパンフレットに載っている人だった。後で聞いた話では、パンフレットに載っている人に会うと評価が高いということだが、私の感想ではそれはどうなのかなと思う。とはいえ、パンフレットに載るだけのことはあって、非常にバイタリティー溢れる方だったので、50分の面接とは思えないほど内容が濃かった。
待合室に戻り、いつものように官庁訪問ノートに聞いた話をまとめていると、すぐに人事に呼ばれる。A省では原課の後、人事に呼ばれるまで2〜3時間待つことが多かったので、焦る。今日は効率よく進んでいるのだろうか。そういえば、先週より訪問者が少なくなっているような気がする。第1週で帰った地方の人がいるからだろうか。それとも既に切り始めているからだろうか。A省では切っているという話を聞かないので、まぁそんなことはないと思うが……。人事の方からは、「じゃ、今日ももう1人、会ってもらいます」と言われた。またまた1日に2人に会えることになった、が、どうしてもD省が気になる。このまま2人目に会えば、また先週の金曜日のようにA省に1日中いることになって、またD省に行けないだろう。A省は第1志望なので、すぐに2人目に会わせてもらったほうがいいのだが……。少し考えた末に私が出した結論は、「今日はD省に行くことになっているので、D省が終わり次第また来てもいいですか」というものだった。やはりD省という可能性は捨てきれない。と同時に、A省側に、まだ自分はD省と迷っていますと思わせるという考えもあった(心の中ではA省一筋だったが)。すると、相手もすんなり「では、終わったら来てください」といってくれたので、お言葉に甘えてひとまずA省を後にする。
11:20、D省到着。が、今日の業務説明は13:00からの開始とのこと。まったく間が悪い。こんなことならA省でもう1人会えばよかったかと思いつつも、ゆっくり過ごせていいのかもしれないということで、昼食をとり、先ほどは書けなかった官庁訪問ノートの続きを書き上げる。13:00になってD省E局に向かう。13:40に原課を案内してもらう。今回の相手は係長(7〜8年目?)で、初めての女性の方だ。志望動機、専攻、サークルなどE局でのいつものような面接だ。その後は、業務説明になる。D省は局別採用ということもあり、そのことについて質問してみた。これといった波瀾もなく、面接は40分で終了した。
人事に戻ると、「もう1人会ってもらいたいんですが」とのことだった。A省に戻らなければいけなかったが、2人目に会ってから戻ってもそんなに遅くはならないだろうとの判断で、会うことにする。しかし、30分、1時間といつまで待っても、声がかからない……。E局で待たされたことはなかったので、すぐに次の方に会えると思っていたのだが。16:00、2時間近く待ったところでさすがにしびれを切らし、「A省に戻ることになっているので、また明日伺ってもよいですか」と尋ねてみる。すると、「わかりました。会ってもらう方の会議が長引いたので、お待たせして申し訳ない」とのこと。明日も午後から開始だそうなので、予約はせずに伺うことを約束する。
すぐにA省に戻り、待合室へ。またまたゼミの友人たちと出会う。D省は訪問人数が少ないので、他の人と話ができるのはA省だけになってしまった。その話でわかったことは、A省でもいろいろな段階の人がいるということだった。ある人は、人事の課長補佐に既に3人会っているらしい(私の友人も、今日で3人目に会ったとのこと)。またある人は、役職なしの若い年次の人にしか会わせてもらえないらしい。私は人事課長補佐2人に会っているので、「じゃあ、今日は3人目に会うんじゃない?」と友人に言われる。まぁ、順調に行けばそうなるのかなと思うが……。17:20、人事に呼ばれる。また例の会議室を案内されるのか……と思っていたが、「今までの話以外に、聞いてみたい話は?」と聞かれる。ということは、原課を紹介されるということだ。予想とは違ったが、まだ話を聞いていなかった局を希望する。今回の相手も課長補佐(10〜11年目?)。事前に研究していなかった分野ということもあり、聞くことすべてが新しい。話を聞いているうちに、午前中に聞いた話との共通点が見えてきた。両者はまったく異なる分野だが、問題となるところは同じに思える。話を聞いて問題点を見つけるセンスが少しはできてきたのだろうか。相手があまり話さない方だったので話をつなぐのに苦労したが、それなりに疑問点をぶつけ、45分で終了。その部屋の室長が私の高校出身ということがわかり、名刺をいただく。部屋を出る際に、「ぜひうちに来てください。お待ちしています。」といわれるが、ぜひ来たいのはやまやまなんだけど、それは面接次第なんだよなぁ……と心の中で思う。
待合室でひたすら待ち、3時間後の21:15、人事に呼ばれる。相手はまた先週の月曜朝一で会った方だ。まずは今日聞いた話の感想を求められたので、先ほど発見した両者の問題点の共通性について話す。すると、なるほど、といわれる。どうやら、直前に面接をした学生が同じことを言ったようなのだが、要領を得ない説明だったらしい。十分納得されて、さらに「説明会で聞いた話を自分の言葉で話せるようになって欲しい」と再び言われる。その真意は、「細かい知識は仕事をしながらでも覚えられるが、普通の言葉で行政から国民に語れるようになることがこれからは大事になる。だからこそ、業務説明会の期間中に、その力を養って欲しい」ということだそうだ。次に、A省について思うことを聞かれたので、今まで聞いた話を踏まえて話す。相手から出た言葉は、「君も前に比べればなかなか話せるようになったね」と。初日に緊張しまくってうまく話せなかっただけに、その相手からこういう言葉をいただけるのはうれしかった。面接は終始なごやかに進み、10分で終了。次回の予約をすることになったが、「明日の水曜日は時間がなくてA省に来られなかった人のために空けるつもりなので、木曜日の9:30でいいですか? 決して評価が悪いということではないから、誤解はしないでください」といわれる。そうはいってもそれはただの建前で、間があくとやはり不安になってしまうが、A省の方の対応や面接の雰囲気からその言葉を素直に信じることにして、22日木曜日の9:30に予約をする。今日はA省、D省、A省とハードスケジュールだったが、今はこの2つに絞ってがんばるしかない。21:30に家路につく。
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