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このコーナーは、ASIL Insight ( http://www.asil.org/insights.htm )の記事をピックアップ、抄訳したものです。国際法の学習は、国際社会のトピックスにあわせて行っていく必要があります。このサイトを、基本書や判例集がフォローしていない最新の重要判例・事例を補っていくのに活用してください。 |
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翻訳・要約 杉原龍太 | |
国際司法裁判所は、米国がドイツとラグラン兄弟に対するウィーン領事関係条約上の義務に違反したと認定した。 裁判所は、裁判史上初めて、仮保全措置に、法的拘束力があることも認定した。 2001年6月27日、ハーグ。この判決は、紛争の本案審理についてであり、当事者を拘束する最終審であり、上訴はない。同判決の中で、裁判所は、14対1で、領事関係条約36条1bの下の権利が、逮捕後遅滞なくカールとウァルターに告知されなかったことによって、また、条約によって関係者個人に時宜に応じたやり方で与えられる訴訟援助をドイツから奪ったことによって、米国が、ドイツ及びラグラン兄弟に対する同条約36条1項の義務に違反したと認定した。 裁判所は、14対1で、条約上申し立てられた権利の観点から、ラグラン兄弟の有罪判決及び刑の宣告についての再審・再考を許容しなかったことによって、米国が、ドイツ及びラグラン兄弟に対する領事関係条約36条2項の義務に違反したと認定した。 裁判所は、13対2で、ICJの最終判決までウァルターの刑を執行しないように必要ないかなる措置もとらなかったことによって、米国が、1999年3月3日の仮保全措置の指示命令の下で、課されている義務に違反したと認定した。 裁判所は、全会一致で、条約36条1bの義務の遂行において採用された特定措置の履行確保のために米国が引き受けた約束について留意する。また、この約束が、ドイツからの再発防止の一般的保証の要請を満たすものとみなされなければならないとも認定した。 裁判所は、14対1で、条約36条1bの諸権利が尊重されておらず、ドイツ国籍者に重い刑が宣告されているならば、米国は、条約上申し立てられた権利の侵害を考慮することで、有罪判決と刑の宣告の再審・再考を認めなければならない、と認定した。 特に仮保全措置の効力について(para.99-110) 1999年3月3日の仮保全措置指示の命令に対する米国の違反について、裁判所は、これまで幅広い論争のあった規程41条の文言の解釈について、それによってなされた命令の法的効力を認定するよう要請された。 国連憲章94条1項の「裁判所の決定(decision)」の文言は、単に判決(judgement)だけではなく、裁判所が下したあらゆる決定を意味するとも解しうるので、仮保全措置を指示する命令をも含むことができる。一方、94条2項が規定するような裁判所の判決だけを意味するとも解釈しうるが、実際には規程56条から60条までにおいて、決定という文言と、判決という文言の双方が使われており、問題は解決されない。憲章94条1項について、第1の解釈をとれば仮保全措置の拘束的性格を強化するだろうが、一方で、第2の解釈をとっても、規程41条の拘束力を排除するわけではない。裁判所は、国連憲章94条が、規程41条によってなされる命令が拘束的性格をもつことを妨げないと結論する。 裁判所は、仮保全措置指示の命令が、拘束力を有するものであることを認定する。本件において、裁判所は、1999年3月3日の命令が、単なる奨励(exhortation)ではなく、米国に対する法的義務(legal obligation)を創設するものであった、と結論した。裁判所は、命令を履行するために米国がとった措置を検討しつづけ(中略)、米国の措置が、裁判所の命令を守らなかったと結論した。 http://www.icj-cij.org/icjwww/iwhats.htm |
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